「アカメの国」長野博光
「釣りの行方」細川裕史
時下、皆さまにおかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、標記の件につきましてお知らせ致します。
ご承知のこととは思いますが、宮崎県では県条例により、2006年4月1日からアカメが全面的に捕獲・殺傷禁止となりました。高知県でもこの7月希少種保護条例が公布され、「種の選定作業」が専門家委員会で行われていますが、現時点では、アカメが希少種に指定されるかどうかは定かではありません。
細川と長野は、今年の夏頃から高知県当局にアカメについて何度か問い合わせを行い、県が依託したアカメの調査経過と結果について、情報公開法に基づいて公開を請求し、情報を開示してもらいました。また、長野は高知大学の町田先生との連名で、高知県レッドデータブックでのアカメのカテゴリー指定に関する疑義を県へ提出するなど、釣り人としての対応を実行してきました。
その一つの区切りとして、来年1月14日(日) AM10:00から高知市立自由民権記念館にて「釣り人による アカメ・ミーティング(仮)」を開催する次第です。
開催の理念として、
◎高知県の自然の象徴であるアカメの生態解明などに関し、県や研究者と釣り人が協働していくきっかけにする。
◎日本の、そして高知のアカメの現状と、これから釣り人がアカメとどう付き合うべきかについて議論を深める。
の2点を設定します。
この2点につきまして、多くの釣り人による忌憚のないそして建設的な意見交換の場にしたいと存じます。
また、長野と細川は、当日の皆さまのご意見を集約し、ただちに高知県文化環境部自然共生課へ提出を致します。
なお、パブリック・コメントの募集は、1月下旬予定とのことです。
パブリック・コメントの募集につきましては、期日が決定次第、長野が開設しているホームページ「アカメの国」でお知らせ致します。
皆様のご参加を心からお待ち申し上げます。
連絡先:細川裕史 Mail:sanpeimihira@yahoo.co.jp
長野博光 HP 「アカメの国」http://www1.ocn.ne.jp/~akame/
会議議事録
かっこ【】内は発言者
【細川】
「定刻になりましたので、会議を始めさせて頂きたいと思います。主催の細川と長野です。宜しくお願い致します。
本日は遠いところ、お寒い中・・・あ、大きな声で?はい・・・
本日は遠いところ、お寒い中お集まり頂きまして本当にありがとうございます。
そしたら、会のほうを始めさせて頂きたいと思いますが、、開催の区切りと致しまして一言言わせて頂きます。
僕の方よりは遠いところから来て頂いてアカメが好きな人から言って頂いた方がよいと思うので、滋賀からはるばる車を飛ばして来られた人が居られまして、、、、
Dさん、お願いします。」
【滋賀在住 Dさん】 (参加者より拍手)
「ええ、ただいまご紹介に預かりましたDと申します。
ええと、僕はアカメまだ釣ったことないんですけど、最初は静岡のほうに住んでまして、アカメが釣りたいと思いまして、毎年、年一回、一週間二週間なり高知のほうへ来てる
んですけど、アカメの方、まだ巡り逢えてません。
今回ちょっと、県の条例のほうでアカメの採捕、禁止されるということで、ええ、僕は・・・禁止されないようにしたいのももちろんなんですけど、何もしないで、ただ成り行きを見守るよりは、何か自分にできることがあればと思って今回参加させて頂きました。
ええ・・・突然紹介されたもので何を言うか考えてなかったんですけど・・・僕は、高知が好きで、アカメも釣りたくて毎年通っています。・・・禁止をされないように、僕はアカメを釣りに来たんだって胸を張って言えるようにしたいと思います。ありがとうございました。」
(拍手)
【細川】
「どうもありがとうございます。地元の人だけじゃなくて、こういう人が全国に結構数多くいるということを知って頂ければと。もう一度噛みしめて頂ければと。
で、会議の進行なんですけど、一応開会して、もうちょっとしたら長野さんと僕が 一応ベースになる話をさせて頂きます。
僕はちょっと、、条例に、、ちょっと字が小さくって見づらいかもしれませんが、あの条例についてということで。まああの高知県の保全条例というのがどんな感じで上から、上っていうのは国から下ってきとんのか、というお話だけさせて頂きたいと思います。
で、その後長野さんからアカメについてトータルの話をして頂いて、小休止を挟んで後質疑応答みたいな感じで運営させて頂きたいと思います。
それでは、細川と申します。お願いします。
自己紹介というのもなんですけど、僕はそこの桟橋の5丁目に住んでおりまして、まあ、スズキは釣るんですけど、アカメは特にこう・・ぐっと来ねえ・・魚種でして、、、北海道に4年おったんですが、その時期もイトウは釣らずにアメマスとか、カラフトとか、網走に居たんで、その手近におる魚釣っとって、希少種に関しては特にこう食指が動かない感じやったんですけど、今回地元帰ってきて、まあもう10年以上になるんですけど、思ったよりこうスズキ釣りに行って、アカメと出会う機会が浦戸湾の場合結構あると。例えば普通にルアー引いてきて、真下くらいになって、下からドーン!って出てきたりする。ビックリしてこっちはこうやってルアーを引き抜く。
そういう機会が結構あって、思ったよりは数が多いなと。
という感じから結構身近に、僕の中では10何年かの年月の中で身近な魚になってきとったわけで・・・今回条例で、、、ぶっちゃけ高知県でいうとツキノワグマぐらい居ない魚だと。という風に言われて違和感はしております。それで、直接的な足を踏み込むきっかけになったのは、宮崎の件でして、宮崎の件は雑誌の方で知りましたが、結局宮崎の当地の人が何で知ったか?と言えば決まってから全部新聞で知ったと。という話でして、だいぶ手遅れな感じがするわけです。
で、地元の結構メディアに出てくるテスターの方とかに、全然面識は無かったんですがメールを送って、今までの流れの中でそういう話は出てこなかったのかと。というふうなのを聞いてみたら、無かったと。複数当たってみたんですけど、全員新聞に載って、えーっ!って思って、もうその段階で終わったと。
という風なお話を伺いました。
で、現状どうしてんのかといえば、できるだけ釣らないようにはしてるけど、一部で、スズキ釣る目的で・・・っていう人はおるかもしれん、という風なお話でした。
それが一歩足を踏み込むきっかけですが、長野さんとこのホームページへお世話になって、長野さんはそれ以前からこの問題に取り組まれておるということで、、、まあ高知は長野さんがおってよかった(笑)と僕も思ったわけです。
で、結局データ自体がないわけです。
ブラックバスの話なんかでもあったのは、行政にモノをいうていくにあたって、ベースになる数字とか、データとかいうもんが有志に蓄積されてない。ということから、ただの行政に対する言い訳みたいな感じになって説得力が一切無い。駆除規制したい側はデータを一杯持っとるわけですが、釣り人側は説得力のある言葉とかデータを持ってないということで門前払いされた、というふうな前例があるわけです。
高知の場合は、長野さんそしてぺこぺこさんが一杯情報を個人レベルもしくは行政にもそれを通用するような形で蓄積があると。宮崎はそれがない。
高知でこれからアカメを釣り続ける延長線上でいうと、長野さんやぺこぺこさんがおったというのは、だいぶ高知にとってはアドバンテージになってると思います。
そんなところで・・・個人レベルでの積み上げがあるので、次どうしたらいいかなと。県に聞いたらええやんと、思って・・・県に情報公開制度というものが条例レベルであって、まず県に聞いてみたら、、、アカメに関してツキノワグマぐらいの密度しかいないよという、その土台になるデータをくださいと言ったら、結構すぐ出ました。
これ30ページぐらいあるんですけど、普通県の、テレビとかに出てくるヤツってのは、黒線一杯引いてるんですけど、ほとんど黒線が入ってない状態です。
幼魚の生息域、ピンポイントで出てるので、、、最初ネットで流そうかと思ったんですけど、あまりにもピンポイントで出てるんで、その公開はやめました。
ま、言うたら出してきてくれました。
県としてはアカメに関しての・・・アカメだけやってる訳じゃないですから、まあいろいろ話を聞くにあたってアカメだけではなくってトータルで高知の環境を何とかしたいと。県として、そういう形に持って行きたいと。特に高知の場合は希少種の種類がメチャメチャ多いということでしかも希少種の愛好者が多いわけです。
例えば植物でいうと土佐寒蘭とか。
高知市の農家さんでも結構おるんですけど、寒蘭を山から引いてきて育てて自分のハウスの山の方へ持っていって・・・というのを嬉々として話す方がおる。で、元々土佐寒蘭というのは商業ベースに乗った植物ではないわけですが、大事大事いうてやっとるうちに愛好者が増えて、それが希少や、なかなか面白いとかいうことで値段が高騰していって乱獲とかが進んでいく・・・というふうなことが行われる。
でメジロとかも野鳥もそうですし、アカメも結局問題になっていってるのは幼魚レベルで群体になってるヤツをそのままガボッと持っていく。という風なことが問題化しておるということであります。
で、釣りやってる人間側とすると、まあちょっと釣って持って帰るというのもありますけど、基本的に気持ちの部分で言うと、そこからガボッ!って持って行かれると、そこからおらんなる訳です。ほんなら次自分が釣る魚がおらんなる、っちゅうことで、あんまりそれは認めたくない。という部分があると思います。獲って行かれるとそこからおらんなるという単純な話で、足し算引き算の話で、、自分らとしては自分が釣った魚よりもまだもうちょっとぐらい増えてくれりゃいい、御の字やと。
自分だけじゃなくって例えばDさんみたいに滋賀からわざわざ高知が好きやというて来てくれる方も結構居られるわけですから、その分くらいはやっぱり魚が健全に繁栄してもらいたいよっていうのが、皆心の中でどっか想ってるところやと思います。
で、それと乱獲という・・・もしくは商業ベースでの幼魚を捕獲するっていうのは基本ベースでは相容れない。どっちか言うと、「殖えて欲しい」という部分に関して言うと、行政側の主張と結構近いところがあると思います。
今回、会を開くにあたっては県の方と折衝した時に、一番最初にこれ(請求した資料集)をもらう分にあたって、長野さんと二人で県のなんじゃら云うガラス張りの、、ちとこっぱずかしい、みんなから観られるようなとこに入っていって、でこういう会を開く時には条例の説明とかしてもらえます?という話を県の方とした時に、ああいいですよと言って頂いたんですが、ちょうど一月の、この会が終わってたぶんしばらくすると種別の選定、お魚だけじゃなくって、保全する魚とか植物とか動物とかをどれに決めるっていうアウトラインが一回出て、それについての意見を求めるっていう県のパブリックコメントが1月末とか2月の頭くらいにあります。
それをやるにあたって、例えば県の人が来て条例の説明をすると、例えば、まだ決まってないのに「決まった状況を仮定」されて、アカメが決まったら釣りできんなるがやないかとか、スズキ釣りに行ってアカメが釣れたらどうするのかとか。決まってない時に県の人が言われると非常に答えに窮する。たぶんそういう事情があったと思います。とりあえず議事録だけお渡しすると。
そのかわり今回会合であったことは県民の意見として十分反映させてもらえるようだと伺っております。
で、とりとめのないような話になって申し訳ないですけど、県の人が言われたら困る質問の一つに、もう現場レベルで絶対皆さん思ってることだと思いますが、『スズキ釣りに行ってアカメが釣れたらどうすんねん』と。
もし決まったらですよ?
県としてはまだ決まってないからよう言わんのですわ。で、宮崎ではもう決まってる話なんで、それを聞きに行った人がおります。
で、それも釣り雑誌の人でちょっと載ったんですが、まあスズキ釣りに行って、アカメが釣れたと。その処理はどうすんねんと。
そしたら『そのままリリースしてください』。・・・ということで、じゃあ今までと変わらんやん(笑)と・・・いうことになります。
例えば自分ら、決まったとしてもですね、そういう逃げ道みたいな部分はあるわけです。結局『俺らスズキ釣りにいった。別にアカメ釣りたくなかったんやけど、アカメが釣れた。で、リリースした』と。という言い方で、現実問題としては対応は可能です。
ところが、高知の場合は、地元でそういう暗黙のローカルルールでやるんやったらかまんのやけど・・・ってホントはいかんのやけど、実際部分としては処理は可能やと
思うんですが、、、こんなこと言うたらあかんのやけど、かというて、滋賀から来られてるとか、他日本全国から一年に一回釣れるか釣れんかみたいのを心に持って来られてる人から、声が掛かって案内する時に、『ごめん』と。
『スズキ釣ってることにしてくれんか』と・・・いうて、僕はよう言わん訳です。
そりゃもうアカメ釣りに来たいっていうんやったら、アカメを釣るっていう目的で、まあ僕はアカメを釣らないんでどなたかにお願いをすると。できるだけうしろめたくないような感じでできれば一番いいわけです。できるだけ地下に潜らないような感じ。
もともと釣り人というのは、夜中に動いたり、人様の土地へ勝手に入ったりいう面で・・・実際にはそういう人たちもおるわけです。なんぼまともに守っていても、そういう人たちはおるわけですから、どうしてもそういう目で見られがちなんです。できるだけそういうのを避けたい。
で、そういう風になっていくと、どんどんどんどんエスカレートしていく。
どっかでそれを日の当たる場所へ出す。今はちょうどこういう、かろうじてブラインドの隙間から日が当たっているような状態ですけども、これがシャットアウトされる。真っ暗な状態で釣りをするという状態は避けたいという想いで、アカメは釣らないですけど今回の会を開かせて頂いたと、いうことです。
自分で何言ってるのかわかんなかったですけど、まあとりとめのない話で終わりましたが、こんな感じです。できるだけ日の当たる場所でアカメを釣っていくことが、今釣りを
している人たちにもアレやし、わざわざ外部から来て頂いてる人たちのためでもあるし、またこれからアカメを釣りたいという人も必ず出てくるでしょう。
その人たちに対する現時点での責任というのは、そこいらへんにあるのかなと思います。以上です。」(拍手)
【長野】
どうもこんにちは、長野です。
あの今日は、釣り人によるアカメ・ミーティングということで、アカメの現状と、釣り人がどう付き合っていけばよいのか、先ほど細川さんの話にありましたけど、条例の対象種には挙がってます、決まるかどうかわかりません。これから、保護種に挙がったとしたら、先ほど云われたように、パブリック・コメントが求められて、県民の意見を広く求めて決めていくと、いう手順になってますので、アカメ自体が候補に挙がるか自体も現在では判ってないですが、論議は続けていくということであります。
で、あの普段、お米とか、芋とかを相手に仕事をしてまして、百姓です。ですので、こんなところで話すのもめったにありませんので、もう既に喉がカラカラで、お茶を飲ませてもらいながらやりますのですみません、お願いします。
で、そういうことで、私があのこれから拙い話が、これからの論議の参考になったら いいなと思います。
ええ、、ご存知の通り宮崎県では昨年の4月1日からアカメが保護種に指定されました。で、一切の捕獲・殺傷・販売・所持が禁じられました。高知県では先ほど言いましたが、現在どの種を指定するかで専門家と県で検討が進められているようであります。
こうした話題になっている種の中で、ツキノワグマとか、ヤイロチョウなどと違って、アカメほど私たちに生活に密着した生き物はないわけです。
アカメは漁業での重要魚種ではありませんが、シラスパッチ網とか、定置網などで時々混獲されます。また浦戸湾では頻繁に混獲されておりまして、魚市場に出ています。で、私は見たことないんですが、サニーマートのお魚売り場にも出ているぜよと、、ええ?というてビックリしたことがありますが、そういうお魚であります。
で、安芸市の魚屋でも時々買えます。ええ、それからですね、四万十市では皆さんご存知だと思いますけど、お土産屋さんへ行くと、もうたくさんの種類のアカメグッズが売られておりまして、活躍してます。そして、先ほどご挨拶頂いた滋賀の方のように全国からアカメを求めて高知を訪れる釣り人の数というのは、四万十川だけで一年間でおそらく4ケタになるであろうと、、のべ人数ですが。そういうふうな人気のある釣りになっています。
ええ、その釣り人が高知県に与える経済効果ってのはどれほどのものになるかはわかりませんけれども、食費とか交通費とか、宿泊費などから見ても、かなりな規模になるんではないかと私は想像しています。
アカメはまた観光大使の役割も現在では果たしております。
・・・また、釣りというのは古来より嗜まれてきた日本の重要な文化であります。毎年のように高知新聞を賑わす大物自慢にはお馴染みの魚ですよね。夏の風物詩といっていい魚になっています。で、釣りがあるからこそ、アカメがクローズアップされるといってもまあ過言ではないと思うわけです。
こうした状況の中で、この会議が私たち釣り人がどうしたいいかを考えるきっかけになればいいと考えておりますのでよろしくお願い致します。
話の内容はこのお配りした、さっきそこに置いてあったんですが、レジメに従って、この順番というかこの内容で進めていきたいと思います。
最初にアカメはどんな魚なのかということを、見てみたいと思います。(パワーポイントを使っての説明へ)
この魚は、世界一大きいアカメであります。
きちんと記録として残されている最大魚です。で、釣り人は彼、Nさんといって〜の方なんですが、アカメの大きさについてはですね、まあいろいろと言われているわけです。
例えば四万十川では牛を川に引っ張り込んだとか、浦戸湾では居眠りをしている大アカメに高速ボートが乗り上げて転覆したというような破天荒な話もあります。
魚類図鑑などでの記述ですが、一番多いもので150cmという記述が一番多いです。それから我が高知県が発行したレッドデータブックでは、全長2mに達すると書かれて
おります。これはのけぞるような大きさであります。
この2mというサイズにつきましては、高知が生んだ魚類学の先達の蒲原稔治先生の1958年の論文に出てくるらしいですが、その論文は聞き取りですから、噂のレベルのサイズであります。蒲原先生の論文は、採れた種のリストが目的であったので、魚のサイズについては一切出てきません。
公的な文書に書く場合は、証拠が要ると思うのですが、まあそれは何処にも見当たらない。
で、出てくるのはこれが最大であります。
で、、今までで高知県の新聞で報道されたとか、色々話題になった魚を観てみますと、130cmクラスが最大クラスですね、ですので130cmとするのが妥当、文書にする場合には妥当じゃないかと私は思っています。
えー、そのアカメですが、かつてはバラマンディ、あのオーストラリアから広い分布域を持つバラマンディですが、それと同じ種であるというふうに考えられていました。
1977年に片山正夫先生が、アカメはバラマンディとは違うということに気がつきます。その後片山氏と多紀保彦氏の研究によってアカメは新種として1984年に記載された、
ごく新しく分類された種であります。次お願いします。
・・・これは日本に生息するアカメ科魚類を3種を並べてみたもので、これはアカメで、国分川。これはオーストラリアン・バラマンディです。これは沖縄本島で採集された
アカメモドキであります。残念ながら高知県にはこのアカメしかおりません。で、バラマンディは台湾から東南アジア、広くはインド洋からオーストラリアにかけて、パプア・ニューギニアとか、うんと広い分布域を持っていますが、アカメモドキは琉球列島から、えー、西太平洋とインド洋で確認をされている魚であります。次お願いします。
(画面切り替え)
えー、次にアカメの生態について観てみたいと思います。
左上の図は、1988年に木下泉さんたちが書かれた論文の中に出てくる稚魚の時代、このA.B.C.が後期仔魚でありまして、D.は稚魚であります。
(以下、口頭の説明を記述するのみでは概略が明らかにならないので、長野さんの原稿より内容を抜粋)
写真のほうのA〜Cは浦戸湾水系で私たちが採集した個体で、(A)は体長11mmの稚魚(B)が幼魚で体長112mm(C)は若魚で全長280.4mmのものです。これらはデータをとったあとすぐに放流しました。(D)は成魚で全長640mmです。成長にともない体形がこのように変わっていきます。
この2個体は浦戸湾水系で採集した個体ですが体色がずいぶん違います。上の個体が一般的なもので、下はとても変わった体色をしています。これは色彩変異のものです。
この2個体もですが、先に見た稚魚から成魚まで全て生きている時の体色でして、興奮時の体色です。人間に捕まって興奮した時の色で、いつでもこういう体色をしているわけではありません。リラックスしている時は全体に灰白色っぽい白銀をしています。
釣り人と研究者との協力による成果についてお話しします。
(画面切り替え)
この図は1993年7月4日号の旧「週間釣りサンデー」の1ページです。私はこれを読んで仰天しました。
この記事のどこに驚いたかといいますとこういう記述がでてきます。
●体長90センチから雌に変わる性転換魚のようである。
● 狭い河口域で1メーターを越えるアカメはそう多くはないので釣りなどで捕獲されると雄ばかりになって激減しないかと研究者は心配している。
などの記述でした。
当時、私は数十匹のアカメを釣り料理して食べていましたので、60センチのアカメが立派な卵巣を持っていることはわかっていました。また、アカメは河口の汽水域だけでなく一年をとおして沿岸で生息していることもわかっていました。
愛読書の釣りサンデーがアカメについてこんな出鱈目を書いてはいけないと、すぐに「釣りサン」に電話をしました。電話で応対してくれたのは、当時編集長であった小西英人さんでした。
これをきっかけにサンプルや情報を研究者に届けることになり、また私がその後、釣り雑誌に書いた記事などでも広くサンプル提供を呼びかけたりしました。
こうして釣り人が提供したサンプルがアカメの研究に大いに役立ちます。
小西さんとは後日談がありまして、私は「土佐レッドアイ」というクラブに所属していますが、電話でのやりとりした、その秋、ヒラスズキ釣りの取材で釣りサンから2人の記者が来ました。その一人が小西さんだったのです。
小西さんは「なあんだ、あのときのえらい剣幕の人が長野さんでしたか」と驚き、みんなで大笑いしたことです。
土佐弁で話すと聞き馴れない県外の人はけんか腰だと誤解します。
釣り人と研究者の協力でどうした成果があったかを少し見てみます。
釣りサンデーの記事で紹介しましたが、93年当時はアカメもバラマンディのように性転換すると考えられていました。全長1メートルまでは全部♂と思われていたのです。
私たちの調査でアカメは性転換しないことが明らかになりました。
(画面切り替え)
これはわたしが、1983年から98年、16年間での主に釣りによって捕獲されたアカメの高知県に於ける情報を集めたもので、記録の収集方法と記録数をまとめたものです。
情報は、
● 釣り人への直接アンケートにより333個体、全長18cmから137cm。
● 自分の記録で161個体、54cmから129cm。
●雑誌や新聞などから48個体で
サイズは全長55.2cmから130cmです。
こうして集めた情報から
●アカメはどういう環境の場所に多いか?
●アカメはどの季節に多く釣られているか?
●高知県下では何処で多く釣られているか?
●釣られたアカメのサイズは地域によって違いがあるのか?
●季節による回遊はあるのか?
●成長による回遊はあるのか?
を集めた情報を分析してみてみました。
ここから彼らがどんな生活をしているか、一部分ですが、見てみましょう。
(画面切り替え)
アカメの日本における分布を見てみます。
この分布図は1996年に日本水産資源保護協議会が出したものです。この本は各種希少種について書かれたもので、アカメの担当は木下 泉・岩槻幸雄氏です。
それによりますと、本種の出現は、鹿児島県(志布志湾)、宮崎県(沿岸全域)、大分県(臼杵)、高知県(土佐湾沿岸全域)、徳島県(宍喰・海老ヶ池・牟岐・那賀川河口)、
大阪府(淀川河口)、和歌山県(湯浅湾・白浜・富田川河口・里野)、静岡県(浜名湖)で記録されている(荒賀・田名瀬、1987;Iwatsuki et al.1993;鍋島ら、1994)。
しかし、宮崎・高知・徳島県以外の地域では、全て散発的な出現であること、また、徳島県では1982年以降、出現記録がないことから、現在の生息域は宮崎・高知県に限られるといってよい。その他、屋久島・種子島・高知県宿毛・三重県においても本種に関して何らかの情報はあるが、確認されるにいたっていない。と記述されています。
なお、この本は高知県レッドデータブックのアカメの分布についての引用文献です。
画面右下の図は私が新たに手を加えたもので、新しい情報を整理してみました。
●愛媛県宇和島市で新たな(複数)確認。大分県臼杵市番匠川河口で複数確認。
● 噂であった鹿児島県種子島・高知県宿毛市・三重県尾鷲市で確認。
種子島は釣り人から成魚の提供が3尾ありました。また、3年連続で種子島に調査に行きまして幼魚2個体を採集しました。こうしたことから種子島には個体数は少ないが生活のサイクルがあるということがわかりました。
● 1982年以降出現記録がないとされていた徳島県で次々と追加記録がでています。
(画面切り替え)
高知県での分布を環境別に色分けして表した図です。
●が海域、●が内湾域、●が河川内などの汽水域、▲は未確認情報です。
ちなみに県版レッドデータブックでは高知県の地図上に5カ所のみです。
(画面切り替え)
つぎにどこでどれだけ釣られているかを見てみます。
これは黒丸の大きさで釣獲量を表したものです。
最大の浦戸湾が124尾、四万十川が88尾、奈半利川河口で87尾、最小は室戸市羽根川河口・宿毛市福良川河口などでの1尾となっています。
この図からは何処にアカメが多いかをみることができます。
年々アカメ釣りは盛んになってきました。とても人気のある釣りでいまや一年間で私が調査した15年間540尾あまりの数以上が釣られているのではないかと思われます。
上が50cm未満のサイズで高知県西部と中部で釣獲されています。
中は50〜100cm未満です。
ほぼ全域で釣られていますが東部で多いことがわかります。
下は100cmを超える大型魚ですが、平均的に分散しています。
この図から重要なことが見えてきます。わかりますでしょうか?
一番上の地図と下段の地図を比べてみてください。
50センチ以上のサイズは東部が最も多く釣られているのに、一番上の図を見ると50センチ以下のサイズはまったく東部では釣られていないのです。
この事は、浦戸湾から東にはアカメの保育場であるコアマモ場が全くないことと関連があるとみてよいと思います。
(画面切り替え)
私と町田吉彦高知大学教授はアカメが高知県絶滅危惧種iA類に指定されていることに疑問を感じ検証しました。
その結果、アカメは環境省のレッドデータブックでのカテゴリーである準絶滅危惧種に該当するという結論を得ました。
この検証は11000字あまりの字数で、A4のワード文章で14ページになります。詳しく見るのはとても時間的に無理ですのでホームページ「アカメの国」をご覧下さい。
この検証をもとに「アカメは絶滅危惧種に該当しない」と、私が高知新聞で意見を述べ県に見解を求めました。
しかし、梨のつぶてです。見かねて町田先生が追加意見を出してくれました。それでも現在まで絶滅危惧種に指定した専門家ならびに県はほおかむりのままです。
どうして科学的根拠なしに絶滅危惧種に指定したのでしょうか。
みなさんは疑問に思われることでしょう。
それは専門家がデータを持っていなかったからの一言に尽きます。私と細川さんはこのアカメについての検討委員会の資料を情報公開制度を利用して県から入手しました。驚くべき内容のものでした。アカメのデータは数尾分、5本の指で足ります。さらに驚くことはアカメの仔稚魚が生活できる保育場は県下3カ所しかないとされております。
これは知っている人がみれば、のけぞったり吹き出したりすることでしょう。なるほどこれだけの資料と昔の情報で判断してしまえばアカメは今にも絶滅するとなるのも頷けます。
今後、アカメの釣獲データは大変重要になります。資源量を正確に知る上でも、県下の分布を明らかにする上でも貴重な資料です。
なんのデータも持たずに増えた、減ったと論議をしても何も得られない不毛の論議です。
広い沿岸域を持つ高知県で、県にデータを採れというのも無理な話です。私たちが集めようではありませんか。それしか方法がありません。
先ほど言いましたように高知県のアカメは絶滅危惧種ではなくせいぜい準絶滅危惧のランクであることを証明できたと考えています。
しかし、「準絶滅危惧種であるから指定希少野生動植物として選定の必要はない」と、ことはそう単純ではありません。それはつぎのような理由によります。
アカメの生物としての特殊性であります。
これまで見てきたようにアカメは西日本の太平洋沿岸におもに棲息し、その中心地は宮崎県と高知県です。きわめて生息範囲の狭い大型の魚食魚であり、そのうえ日本固有種なのです。
地球規模で見ると点のような存在であり、日本の中でもとても限定された生息域であり、本来の意味での希少種であります。
アカメのもうひとつの特殊性は幼魚期の生活にあります。
かれらの初期生活にとって、汽水域のコアマモ場の存在が欠かせません。そのコアマモ場のほとんどは河口域に形成されるため、公共工事などの人間活動の影響を受けやすく、減少を続けてきました。
いまでは高知県のコアマモは絶滅危惧IB類に指定されており、それは〔IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの〕であります。
しかも、海岸線近くまで山が迫っている高知県では、こうした環境が本来たいへん少ないのです。
つまり、アカメの幼魚にとっては成魚よりもはるかに狭い、いちじるしく限定された生息環境しかないということになります。
このように、生物としての特殊な生態と状況があります。ここが肝心です。
幼稚魚はこのように非常に限定された狭い場所に集中しているため銭儲けの対象として狙われるとその捕獲圧の影響はものすごいものがあります。
みなさんは十分、いやというほどおわかりのことでしょうが、釣りは不確かな確率の行為です。しかし、幼稚魚捕りはそうではありません。
ある特定の場所でこれを繰り返すとそこではその年に生まれたアカメの子どもの何割も、あるいはそれ以上、ほとんど取り尽くしてしまう恐れさえあります。対象となる数センチのアカメは親魚まで成長する率の高い強い子ども達です。
いま熱帯魚などを扱っている県内のペットショップではアカメの子どもの買い取りを拒否しているようです。裏ではどうなっているかわかりませんが。これはアカメが希少魚としてクローズアップされ条例の影響が表れているのだと思います。
わたしは以上のようなことから、釣りは禁止しないでコアマモ場の保全と幼稚魚捕りとその販売を禁止するような条例はできないものかと思っています。
しかし、みなさん幼稚魚捕りを規制しろといいながら釣りは自由にやってよいというのでは常識的に見てもつり合いが取れません。釣り人もアカメは釣ってもできるだけリリースに勤めるぐらいの自己規制は必要ではないかと思います。
(画面切り替え)
これは浦戸湾水系の長浜川のコアマモの群落です。
2004年の11月に撮影したのですが、みごとな繁茂ぶりで頼もしい限りです。浦戸湾水系の河川の河口域ではこうしたコアマモ場が現在でも沢山残っています。アカメの仔稚魚が必要とする環境としては全国最大規模だとおもいます。
新堀川ではコアマモ場が復活し、段々増えています。川の中に緑が点々と見えますが、これがコアマモです。
このように豊かな自然も復活しています。わたしが浦戸湾はアカメの聖地だと強調する所以であります。
浦戸湾は日本のアカメの一大供給基地といえるのです。
(画面切り替え)
アカメが減少した主な原因は、見境のない人間の経済活動による環境の悪化であり、河口域のコアマモ場を公共工事などで大規模に破壊してきたことが上げられます。いまだに県は高知県民の歴史的遺産でもあり、アカメの保育場にもなっている新堀川に蓋をして、ただの道路にしようとしております。
じつに110億円以上もの税金を投入して高知市内に僅かに残された江戸時代からの遺跡であり、奇跡のような自然がある新堀川を破壊しようというのです。
新堀川を守る運動のなかでアカメの幼魚にも活躍してもらいました。これまで私はコアマモ場とアカメの関係はできるだけふせてきました。ですが、もうアカメとコアマモの関係を隠して稚魚捕りを避けられる時代ではありません。アカメとコアマモをアピールすることで新堀川の豊かさ、浦戸湾の凄さを知ってもらうことの方が、また、新堀川を後々まで残すことのほうがはるかに重要だと考えました。
これまでの運動の中で橋本知事は新堀川を残す方に向いてくれはじめました。
さらに大きな運動にしたいと思っておりますのでご協力をお願いします。
最後に提案とお願いをします。
このままでは何時までたってもデータは集まりません。高知県の自然のシンボルとしてのアカメを今後も釣りができるようにするための、また、保全の為の基礎的資料を釣り人のわたしたちが蓄積しようではありませんか。資料が蓄積されれば、アカメの増減の傾向は見えてくるはずです。
確実に減ったのなら、その時点でまた考えればよいのです。
釣獲データを集めておりますのでご協力をお願いします。
釣獲データの他にもアカメの生態を知る有効な手段があります。
標識放流:タグ&リリースです。一つの方法として県に標識を準備してもらい、主な釣具店に配付してもらう事ができれば有効な活動ができます。釣り人は釣具店でこれを受け取り、釣れた場合は標識を付けてリリースするのです。
もちろん、標識個体が釣れた場合も同じです。
サイズ、リリースした場所、日付などのデータは県が指定した特定のメールアドレスや指定に従い通知します。
こうした活動への協力を県外からの釣り人にも呼びかけるのです。
それからサンプルの集積です。すでに「アカメの国」で呼びかけて行っておりますが、集める部位は胸鰭の下に隠れる場所の鱗5〜6枚、と背びれ後端部を小指の爪ほど切り取ってできるだけ詳しいデータとともに集めるのです。
鱗は年齢査定に使えます。鰭はDNA解析に使います。鱗も鰭も再生しますのでアカメへの心配はありません。
最後に、条例や規制によって自然を守ることは有効でしょうか?
私たちは最も有効な自然保護はその自然を享受している地域の住民がその重要性を理解し地域の人々が守ることだと思っています。稚魚をとっている人がいたら、そこに住むおばちゃんが「とったらいかんぜよ」と注意するというのが理想です。
これでわたしの話を終わります。
またご質問、ご意見を宜しくお願いします。」
(原稿より抜粋終わり)
(拍手)
【細川】
「それでは、僕の時計で今11:10くらいなので、11:20までトイレ休憩なりさせて頂きたいと思います。
それと、ちょっとお願いがあります。
今、東部の話と浦戸湾の話があったんですが、西部の話、四万十川の話が全然出てきてないんですが、何人か四万十川がホーム(グラウンド)の方が来られているので、あとで
ちょっと来ていただいて、お話して頂ければと思います。
よろしくお願いします。
それでは20分まで休憩でお願いします」
【細川】
「それでは会議のほうを再開させていただきます。よろしくお願いします。
最初にですね、発言記録を全部とってます。通しで。発言記録に関しては、これから発言される方も居られると思うんですが、基本的に個人情報の部分だけを削って、例えば釣り人〜っていう感じでインターネット上に全部一次情報として載せたいと思いますので、すみませんが、ご了承をお願いします。
その会議録ですが、纏めた形で高知県の環境保全課と、あと高知市の環境保全課っていうのもあるんですよ、僕高知市の人間なんで、高知市の環境保全課、それと水産庁の沿岸沖合課に釣り人専門官というのができまして、そこの城崎さんに通しのデータと纏めのデータを送ります。それと、水産庁と直接関わりが深い団体で、全日本釣り団体協議会というのがあるんですよ、僕入ってないですけど・・その全釣り協にも経過のほうを送って、こういうことをしたという報告をします。
あと釣り雑誌何誌かと、アカメと釣りに対して関心がある学術関係者、そちらのほうにも纏めの情報だけは送るようにします。そんな感じです。
そしたら、質疑のほうに移ります。
まず最初に四万十川がホームで釣られている方から、現状と四万十でやってる釣りのスタイルとかを話して頂ければと思います。すみません、お願いします。」
【チーム サブマリン・Yさん】
「どうもはじめまして、四万十市から来ましたYです。
チームはあんまりご存じないと思いますがサブマリンという、、皆さんアカメ釣りの方だったらわかると思いますけど、釣りキチ三平の“潜水艦”から採った名前で、、10年以上四万十でやっておりますが、今回ですね、こういう集まりが10年以上やった中で初めてやと思うんですが、四万十市からチーム5名で来させていただきました。
で、さっきもちょっとお話いただいたんですけれども、四万十の情報ってほとんど無いと思うんですけど、僕らは僕らで僕らのホームの方をだいたいでしか把握してないですし、
僕らもわざわざ四万十川がありますので浦戸へ行ったりとか奈半利へ行ったりとかはありません。
で、すごい秘密っていうたらちょっとおかしいですけど、アカメ釣りって、『言わない』ですよね?僕らもなるだけ、釣り雑誌とか、ネットとかには極力言わないように活動してきております。
で、ここでどこまでお話をしていいものか?と思うんですけど、まあ、こういうせっかくの場ですんで、現状をちょっとお話させていただきたいと思います。
四万十川はですね、近年はまあまあ、まあまあいうたらちょっとおかしいですけど、、7年8年前からしますと、かなり釣れてる現状にあります。かといって、年間数十本・・・まあ、昨年度なんかは把握してるだけでは20本くらいです。
で、24時間365日川に居るわけじゃないんですが、一応はだいたい把握しているつもりです。
当たり年でありました一昨年とかその前ですね、皆さんご存知のように雨が降らなくて渇水すると、釣れます。それでも四万十では、年間把握してるので50〜60、それぐらいが限度だと思っております。
で、キャッチ&リリースの話されましたけれども、よく四万十川はキャッチ&リリースがすごい確立されてるというお話をされたと思うんですけど、僕らとしましても、一応四万十では100%に近い状態でキャッチ&リリースをできてると思ってます。
僕らは基本的には100%キャッチ&リリース。皆さんにも極力お願いする。ただし強制力はありませんので、『どうしても・・・』というのはしょうがないと思いますけれども、まあ、ここ10年やった中で『どうしても・・・』という方はゼロですね。
まあ、現場に僕らもいますし、その釣った状況でランディング(注:魚の取り込み)の時からサポートしてあげたりするので、どうしてもキープ(注:いわゆる広義の『採捕』にあたる行為)という空気に持っていけないというか、なるだけそういうふうな感じにしてリリースをお願いしております。
で、先ほど長野さんのお話にもありましたけど、年間のべ人数の4桁とかいう、よくそういう話があると思うんですけど、確かにね、日本全国中から夏場ですよね、いろんなとこから、遠くのほうから、関西関東、、おおよそ流石にそこまではないかな?というのがそれですね、その経済効果の話もあると思うんですけど、ほとんど宿泊する方居られません。皆さんご存知のように、アカメフィッシングは夕方くらいから川入ってきて、だいたい県外の方は朝方まで釣りをして、昼間はまあ、、ずっと車の中で仮眠取ってる方がほとんどですね。宿泊施設をご利用している方は聞いたことがありませんね。
経済効果と言ってもまあお風呂に入るか、ご飯を摂るかであって宿泊してる方はまず居られない。のべ人数はそこまではいってないかなという・・ええとこ3桁というところでしょうか。
サイズ的にもですね、すごい興味あると思うんですが、結構でかいのも揚げております。1m30・・・超えるような奴も揚がっております。で、ウエイトなんですけど、以前はバネバカリで量ったりもしてたんですけど、今はリリースしてあげたいので、もう今はウエイト量ってないです。もう推定です。そこまでして僕らも記録を狙ってやってる訳でもないですし、そういう現状でウエイトを量ってないですし、30kgを超える魚になると、ちょっとリリースしようと思ったら、なかなか現場で量る方法というのもちょっと、そうはないかなというふうに考えてやっております。
・・・こんなもんでしょうか・・・今急に話があったので、まあ四万十はそういう状況です。ただ僕らとしても毎年のように・・滋賀の方でしたかね、滋賀以外の方でも毎年5年も7年も8年もよう釣らん方も居るし、そういう方らあも憧れて釣りたい!いうだけでみえてる方も当然リリースさせていただく方も結構おるので、県外の方も来ていただいてリリースしていただいて、さっきの長野さんじゃないですけど、虫のいい話なんですけど、釣り人はリリースして、できたら稚魚の乱獲売買をやめるような方向で、というのが僕らの意見です。
・・・簡単ですが、いかがでしょうか・・・」(拍手)
【細川】
「どうもありがとうございました。四万十川ではこう、県外の方が寝る間を惜しんで釣りをされとる、リリースは当たり前のようにされとるという現状を説明していただきました。
まあ僕個人としては釣って食うっていうのも、それはあるんかなと思いますけど、大事に想う気持ちが行動に現われるというのは大事なことだと思うんで、四万十ではそういうローカルルールがきちんと設定されており、機能してるというお話だったと思います。
高知県下、西部と中央部と東部の話がトータルで出たと思うんですけど、アウトラインはそんな感じでええかなと。まあ今までの話でなんかこう思うところがあるとか、こうしたらいいんちゃう?みたいな意見があったら是非お願いしたいなと思うんですけど、どうでしょう・・・?
挙手でお願いします。
なかなか急にといっても難しいと思うんで、例えばこれ思いつきで書いてみたりしたんですけど(注:ホワイトボードに箇条書き)、幼魚を獲るとかですね、これ実際に見られた方とかいらっしゃいます?
・・・まあ自分らもセメント工場とか行った時に、夜中にこう、、、自分も夜中に動いているわけですが、こうどぶってなんかしてるなあ、排水のとこでなんかしとるわあ
という・・・(挙手)はい!」
【参加者】
「幼魚獲りゆうかどうかはわからんですけんど、どぶりゆうがはみたことありますけんど。投網を打って・・・」
【細川】
「投網で・・ありがとうございます。・・・そうなると・・・まあ特に問題になってくるのは、今回長野さんのホームページとかにもあったがですけんど、熊本で幼魚を売ってる
という話がありまして、四万十、じゃないや高知産の幼魚を売ってる、、まあ一応高知産というて売ってるんですけど、距離的に言うて考えたら、そりゃペイするような感じではないと、、たぶん宮崎から、まあ推測ですけど勝手に獲ってそれを高知産と偽って売るとか、そういう抜け道も考えられる訳です・・・でも釣り人側からしたら、規制する側のほうに回るというよりも、殖やす方向で、お魚を殖やす方向で取り組んでいったほうが自分らが困らないと思うがですけど。
まずやれることっていうたら、データ集めしかないと思います。
釣りに行って、ついでにできるぐらいの感覚じゃないと、どっちが大切なんかというたら、やっぱり釣り人は釣ることがまず大事ですから、釣りに行ったついでにやるといった感じの取り組み方でないと長続きもせんし、やってくれる人も少ないだろうと個人的には思っています。
それが進んでいくと眼に見える形になってあ、殖えゆうとか、逆にアカメ以外の魚の種類が増えてきたとか、ということになってきて初めて、コアマモ場の保全とかに釣り人側が足を突っ込める、ようなことになっていくんだと。やっぱ釣り人側としては対象魚が殖えるか殖えんかというのは一番目先の大事なことであって、環境保全といっても、自分の利益にならないとぶっちゃけこう、足を踏み込めんというのが僕は本音の部分であると思います。
そういうところでいうと、“釣りのついでに”例えば長野さんが言うたちょっと鱗を戴くとか、ハサミかなんかでサンプルを採るとか、ということができてから・・・だと思います。
根本的な問題からすると、幼魚が少なければジリ貧になるのはまず間違いないので、最終的にはそういうところへ持っていければベターベストやとは思います。でもそれもデータが集まってからの話、じゃないと説得力がないですよね。
自分らぁを動かす説得力もないし、県側を動かす説得力もないので、できれば、長野さんの“釣ったついでの”取り組みにできるだけ協力して頂ければと思います。
あと新堀川の話とか出ております。自分も・・あのはりまや橋からちょっと行ったところの四銀の横の“みぞご”、失礼しました、まあ一般的にいうとみぞごです。そのみぞごで、、知らない方も居られるかもしれませんが、、鏡川と江ノ口川を繋ぐ運河みたいな感じです。昔は雑魚場・・・じゃないわ船着場みたいな感じで往来が激しくて、例えば菜園場という町が隣にありますけど、ここから野菜を荷揚げして菜園場で野菜を売ったと。
そういう名前です。結構昔の生活臭が、江戸時代の生活臭がするところです。
実際にお魚さんどうなんやというとこですが、浦戸湾を守る会さんのホームページにもあるように、結構種類が多いです。流れが結構ありまして、ちっちゃいみぞごなんですけど、汐の行き来で結構流れがきつく出る。で、浅かったり深かったり・・・昔のミオ筋があってそこでまた流れの差とかができてるみたいで・・・浅いところではハゼがおったり、それよりちょっと上の方ではスミヒキの幼魚がおったりと、小さいながらも楽しい我が家みたいな感じで・・・まあ子供さんとかが観にいって、『ああ、浦戸湾って結構魚の種類多いよね〜』って、思うにはものすごく絶妙な場所やと思います。
そういう場所を守っていく、、アカメがおるから守るんじゃなくて、いろんな魚や生き物が健全に生きとる場所を守っていくよということが、例えば浦戸湾を守る会さんとかは
あると思うんです。結局アカメ以外の生き物がワサワサしてないとアカメも生活できないんで、下世話な話利害は一致するというふうな部分であります。
・・・直接的に新堀川を守るということに関して県下のアカメ釣ってる愛好者の方が何かをできるというのは、まあ、やっていただければ一番いいんですが、現実問題として難しいかもしれません。ただ、生き物のゆりかご的な存在というのが潰されとる、潰されかかっとるという危機的状態にあるということは是非知っていていただきたいです。
何かことある時には協力できる機会があったら、していただければ、すごい建設的な取り組みになると思います。
で、ごく個人的な見方なんですけど、結局“魚が少ない”というのが釣り人側の不満としてあると思うんですよ。魚が殖えたらイイ!って、自分なんかは単純に思います。いろんな魚がおって、その下位に海草、例えばコアマモ場とかの育成もあるわけですけど。いろんな生物がおって、その頂点に高知の沿岸、汽水域だとアカメが一番上に来る。一番下の部分を、生態系の一番下の部分を護っていっちゃろう!という気持ちが、最終的にはアカメの保全にも繋がるという感じで、環境保全とアカメの釣りというのが繋がるのだと思います。
例えばコアマモ場の保全ですよね、コアマモ場が少なかったら・・・まあ新堀川もそうですが、長浜川、さきほど出た長浜川もそうです、そういうピンポイントで供給されてる場所というのに、できるだけ多くの眼を惹きつけるような感じで取り組めばいいと思うんです。子供がどんどん育っていったら規制する必要も無い。逆説的な言い方ですけど。そういうところにできるだけ関心を持ってもらえば、結局自分の釣りが続けられる、、で、次の世代にも、もっとオモロイ形、余裕を持ってアカメが釣れるような感じになっていくと思うので是非お願いしたいと。
あと・・・もし決まったらですよ?もし最悪の場合・・・僕、最悪の場合を考えるのが好きなんで(笑)もう採ったらあかんのやと。ということも考えとかなあかんと思います。採ったらいかんなったらどうするか。
僕個人の考えですよ。
特別採捕っていうのがあるんです。学術目的で採って、そのデータを行政に掲げていく。その特別採捕の許可をここに居られる方たちでとってもらう。データを県側に整備してもらう。それを何年か続けていって増えた減ったを面倒見てもらおうやないかと、思ったりもします。
まあ、悪い方に転がった場合にはまた会なりを開いてお願いするかもしれないので、その時にはよろしくお願いします。
なんか意見ございますかね・・・お願いします。
【参加者より挙手】
【細川】
「どうぞ」
【Aさん】
「タグ&リリースなんですけど、僕はタグ&リリースしたほうがよりわかりやすいという意識があるんですけれど、釣り場で会った方に言われたのが、タグ&リリースのタグが付いてると、県外から来られた人が初めて釣った魚がタグが付いてるんで、それが残念だと思う人も実際にはいるらしいんです。
その人たちがここに集まってる方のような意識を持ってるかといえば・・・話を聞いた中では、自分が釣ったアカメのタグは引き抜いているという人がいらっしゃるんですよ。タグ&リリースしても意味がなくなると思うんで・・・そこを許せる人がどれだけいるのかとかを知っておかないと、タグ&リリースしても情報が返ってこないし、引き抜かて・・・やっても意味が無いかなと思ったんですけど、タグ&リリースする時に大きさと重さを計って、次採れた時に大きさと重さを計れば、どれだけ成長したとか、体重がどれだけ増えたとか分かると思うんで、アカメがどういうふうな行動をしているか、例えば産卵行動とか判りやすくなると思うんですよ。
今、どこで産卵しているかすら判ってないという現状なんで、もし例えば6月産卵前に釣れた魚がいて、お腹がタプタプしてた。体重を量ると10キロあった。その次もしかして一週間後に釣れるとしたら、その体重を量ったとしたら、一気に2キロくらい体重が落ちてる。ということになると、その一週間に産卵行動があったかもしれない。というような推測はたつんですけれど、それができることである程度範囲を絞って調査というのは進められて進めやすくなっていってると思うんですけれど、
その意味ではタグ&リリースはやったほうがいい。
タグ打ちが産卵に影響があるのかどうかはわかんないですけど、まあそういうところを検討してもらって、浦戸湾ではこういう活動をしているので、というのを大きく広めてもらったほうがいいかなと、、ある程度全部が全部やる必要はないと思うんですが、浦戸湾が一番多いなら、浦戸湾ではこうします!っていうのでやれば、まあ多少移動の幅があって他のところでタグが付いた魚が釣れるかもしれませんが、そういう方法もあると思います。」
【細川】
「ありがとうございます。そうですね・・・その周知徹底、条例の拡がり方もそうなんですが、それが一番難しいというか、実際に知らんかったと言われれば終わりなんで、それをどうするかというのはあると思います。
まあ今思いつきですが、やる地域をものすごく絞って、今言われたように浦戸湾なら浦戸湾に区切って、例えば浦戸湾やったら県外の方がお店に来られますやんか、何らかの情報を持ってる。そこの繋がりの中で周知徹底を図っていく、というやり方もあると思います。最初はできるだけ規模を小さくして、それが成立したあとどんどん善意の輪じゃないですけど、成功した段階で持っていくと。というのがいいと思います。
タグ&リリースもそうなんですけど、その予算が下りなかった時とか、お願いしますといっても大分時間が掛かると思うので、その前の段階として・・今ちょっと名刺をお借りしますが・・・名刺大のカードを作っておいて、例えば、いついつ採れたとかいうことを書いてもらって、釣具屋さんに置いてもらう。
サンプルというか、ちょっとした切片も最初は釣具屋さんに預かってもらって、例えばそれを長野さんへ持っていくとか、、、できるだけできることを。本来、もう釣りたいわけで・・・それは僕も分かるので・・・手間が掛からない方法で、お金が掛からない方法を考えた場合、最初はカードだけで済ませる方法にしておいて、それから実績を積んでから例えばタグ&リリースを浦戸湾だけでやる、で、それ行けたら、東部行って、西部も行けて、という感じやといいと。個人で思ってるのは名刺カードの奴は個人レベルでやろうかなと。どうせ500円も出してパソコンで打ち出せば済むことなんで。
それは色々話を伺った中でやってみようかなと思ってます。」
【長野】
Nさん・・・(はい?)あの・・・研究者との協力のがで、ちょっと話してもろうたら・・
(なんもいうことないですよ)そういわんと(笑)
(すんません、ほいたら・・・)」
【浦戸湾 Nさん】
「浦戸湾で釣りをしているNです。よろしくお願いします。
あのー、先ほどのタグ&リリース、その明確な利点をキッチリと出さんと、これはなかなか骨が折れるぞと。
というのはね、例えば高知県から他の県へ行くっていうのはあまりないでしょ。高知県沿岸だけ。
浦戸湾が基点であっても、先ほどおっしゃったように産卵行動、それがもし外洋であれば、それはなかなか捕獲は難しいでしょう。で実際にね、釣った魚を愛媛大とか高知大とかに一杯出した、という時に、産卵途中の個体というのがものすごくあるわけ。長い時間に産卵してるんよ。
それと、浦戸湾・・・まあ僕らの感覚の現状やけれども、実際の数字とかは全く無いんやけどね、5月の後半ぐらいから川のほうへどんどん魚が上っていく。で、5月後半から6月くらいに場所に拠ってはね、1万匹ぐらい魚がいる。込み潮。誰が見てもたぶん観えると思う。
で、それ観てない人は、どれぐらい魚が居るかわからんはず。観てる人はね、こんなのから(40cm大)からこんなの(1m)。
浦戸湾、実際にウチらのメンバー今日何人か来とるんやけど、飛び跳ねとるからね。飛び跳ねとる奴は魚を食っとる。舟、櫓漕いでチヌ釣っとるでしょ。チヌ釣っとるおんちゃんの向こうっ側で跳んでるのが舟くらいある。そんなん観とる人何人もおる。写真も無し、何も無いから、現状ではそんなモン嘘やろ!?と思う。でも観た人間は、、あれ何やろ、シルエットはアカメや、アカメしかない。こんな奴で?(畳一畳のイメージ)実際釣ってないから、2mあるかはわからんけど、、まあそういう魚は獲り難い。漁師のおんちゃんは切られて網を破られる。・・・アカメはね、なかなか市場へ出んというのは金額的に言うたらスズキと一緒。スズキと同じやけど、なんで市場価値が無いかというたら、高知県の場合、鱗の大きい魚は不味いといわれる。それと、料理屋さんで料理するのに、ものっすごい時間が掛かる。ちっちゃかったら鱗取ってぱっとやるんやけど、、研究されてないのはそこらへんもあると思うんですよ。
あと、メスオス?
産卵の場所・・・って僕らはあんまりよくわからんのやけど、長野さんやったら詳しいけ、もうずっと調べて、10年来の先輩なんやけど、、やっぱり浦戸湾だけやのうて、いろんなとこで産卵すると思うがですよ。ただその産卵後の稚魚がコアマモ場・・・がメインだろうとは思うんやけど、ひょっとして外洋で大きくなっとったかもわからへん、外洋というのはちょっとおかしいけど、近くの岩場で大きくなっていたかもしれへんよね。で、そういうのはなかなか採りにくい。
それでさっきのタグ&リリースの話に戻ってくると思うんやけど、悪いことじゃないと思うんやけど、その利点がどれだけのもんになるか、個体傷つけてまでやるかとかね、今他の魚ではだんだん少なくなってきておる。だいたいのことが判ってきた。で、アカメも元々個体が少ない、情報がないと思うよね。
それとウチらなんかは、アカメ釣れた場所を公開するという話があるけど、浦戸湾の場合は全域あるわけや。
釣ったことある人はたぶんそうやと思うけど、「どこで釣れますか?」「全部で釣れるがよ」・・全部におるわけですよね。物凄い数がおる。まあ去年はね、ちょっと少なかった、観えるのがちょっと少なかった。一昨年は、、まあ横幅がこんな奴とかね、ズラーーーッと観えるとかね、物凄く見えるがですわ。まあ、それを眼で視てないと、なかなか難しいけんど、まあ週に一回ぐらいでは厳しいと思う。確かにね。まあスズキやっとる人もアカメやっとる人も、できるだけ、釣ることも大事やけど、辺りを視てもらいたいと思うがですよ。こんなところにこんなががおるっていうのは。あるはずやで。横向いてこのぐらいのとこでもおる。ウェーディング(立ち込み釣り)するでしょ。振り向いたらなんでこんなところにおるっていうのもあるんやで。
あと、浦戸湾の現状でも10年ぐらいで物凄く殖えとるような感じはします。で、なんで殖えたかというのはまあ確かに水質が良くなったとは思うし、海水が上がってきたと思うんですよ。でも、最近は大敷き網に南方系の魚がだいぶ入ったという話もあったんやけど、南方系の魚と思うんやけ、まあそんな関係もあると思うがですわ。で、今まで僕はね、公にこういう場所にあんまり出てこんかったというのは、『やっとったら皆分かるでしょ?』っていう感覚があったんよ。本当のところ。
で、釣れる者には、『いっぱいおる』。釣れん者には、全滅したんじゃないかと思えるぐらい『おらん』のよ。
去年一昨年、浦戸湾の出口近辺からの結構浅瀬をちょっとやってみたんよ。アカメ釣れるけどスズキ釣れん。スズキが少なくなってきたんやね。今年なんかも、、まあ僕らがスズキよう釣ってないのかもしれんけど、アカメ20匹釣ったらスズキ1匹しかよう釣らざったですよ。6月くらいから10月くらいまでね。
その中でアカメの個体識別を長野さんに聞いたんやけど、メスはどこで見るって聞いたんよ。解剖せなわからんかい?・・・表から見て分かれば、書いて全部みるよ。でも判らんのよね。
で、僕らも当然リリース。なんでリリースするか?・・だって捌くの嫌やん。何でも捌くの嫌です。もしね、マグロより美味しかったらそりゃ捌くかもしれん。いうても一年に一回か二回は捌くんやけども、捌いてほんまにむちゃくちゃ美味いかというたら、まあまあかなり美味しい方やとは思うけど、クエらあからいうたら遙かに落ちるわな。カンパチの方がそりゃ美味しいわけ。正直なとこ。それをわざわざ持ち帰って、、、ねえ。めんどくさい料理してってことにはならん。やっぱりリリースの方が100釣ったら90はリリースと思うよ。まあ、血が出たら持って帰ろうとは思うんやけど。
で、ほとんどの人がリリースはしてくれゆうと思う。自分らでもよっぽどのことがないと持って帰って捌いたりはせんのやけどね。けど、捌いて初めて判ることもあるがですよ。
どこが判るか。
去年は久しぶりにね、25匹くらい捌いた。ていうのはそれは大学へ送ったりする分。
何食とるか。一番食ってるのはエガニ(ノコギリガザミ)。その次にコシナガエビ、いわゆるブラックタイガー。その次にボラ。その3つのうちで一番食ってるのがエガニ。1m20cmあってもエガニのこんな大きいのが4匹5匹お腹の中にある。浦戸湾は。それだけ昔捌いたのと比べてみると、カニが物凄く増えてきた。ちっさい奴ではあったけど、ちっさい奴はエビとかカニとかちっさい奴。でっかい奴は魚がほとんどやったけど、最近4〜5年くらいカニを物凄い異様に食っとるけ。
新堀川でも網持っとるおんちゃんがおったらエガニ採ってる。エガニみたいに人間が食ても美味しいものはアカメが食っても美味しいんじゃないかと思うんやけどね。それじゃ体力持たんけ、ボラとかコノシロとか、美味しい魚じゃないかも知らんけどそんなのを食ってる。
さっきの鱗の件やけれども、四万十なんかやったら水の中でしょ?これちょっとわかりにくいかもしらんのやけど、むちゃくちゃそこいらに落ちてるわけよ。で、パパッと集めただけで結構な量、10枚くらいはすぐあると思う。そういうやつは長野さんの方へでもね、送ってあげたらええんやないかと思うんよ。
それと、さっき出たDNA。
実は自分サンプルでDNA出したことがあるんやけど、はっきりできてない。どうしてかいうと検査するのにお金が掛かる。どういうDNAの検査するかいうたら、四万十産、浦戸産、それからパーチ類、それと別の魚の全部区分訳をしようかということになる。ところが、一般家庭で飼っとった奴を放流するのが悪いからというて水族館持ってきてくれると。大学の研究室へ持ってきてくれると。持ってきてくれた奴のDNAを照会することはあるんやけど、なんせ予算が無い。予算がどっから出るかというたらそりゃ県から出るとかしかないでしょ。で商品価値の無い魚やからというのは分かってる。
まあ自分の感覚ではそういう場所にアカメというのは置かれとった、今までは。釣り人が出てくることによってアカメの・・・本当言うと商品価値、グレードが物凄い上がれば、そりゃ研究すると思う。一切れ、マグロみたいになったら皆喧嘩するからね。
けどそれはなかなか難しいけ、自分らも出てきたんは、出てくることによって参加して初めて判ることっていっぱいあると思うね。参加したメンバーっていうのは、僕凄いと思うんです。というのは、アカメは『好き』とか『嫌い』とかじゃなくて、『これから先、どうなっていくのか』というのが物凄くあると思うがですよ。僕の常識では通用せんところもいっぱいあると思うんだけど、『こんなところにおるのに何で希少魚なん?』っていうのが本当のところなんやね。
その現状はわかってもらえたらというために、こういう場所に出てきた。
じゃあ浦戸湾やったらどこでも釣れますか?〜〜んんん、そりゃ難しい(笑)まあ冬でも釣れるしね、たまたまね、マグレで。やっぱ夏場、4月くらいから上へ上へ、スズキやっとったら6月くらいから60、80、メーターくらいが多いかな?で、下へ行くほど数は少なくなって来るんやけどおっきい奴が来る。ただ、下の方では連発したら10発とか15発とか、あれは群れる魚やけんね、・・・まあそんな感じがあるけえ、まあ今日は自分出てきたんは、これだけ浦戸湾にアカメが居るのにどうしてこんな希少魚になるんやろうと、
それが不思議でね、出てきたんです。
あと、細川さんも言っとったんやけど、もし禁止になれば、いろんな方法あるよね。隠れてやらんほうが僕はええと思う。長野さんもコアマモ場の稚魚公開、こういう場所で公開したというのがあるんやけど、ほとんどのアカメ釣りは隠すのが現状やからね。スズキはある程度そうやなくなった気もするんやけどね。アカメの場合は、うんと隠すのが現状やと思うき、まあ僕らもボウズって言う時もあるんやけどね、まあやっぱり閉鎖的なことが余計希少魚と言われるようになったと思うんですよ。
せっかく四万十からおいでてくれて、四万十の現状ですよ!って公にしてくれた。そういうのって、僕は貴重なデータやと思うんですよ。
で、ウチらのメンバーで去年220。浦戸湾だけで。その内の8割が1m以下。で一番最大が129cm。まあ切られた奴もなんぼかはあるけれども、全くサイズとかは判らん。
あと愛媛大なんかに送った奴なんかもオスばっかり。メス解体して、、1m20あったら解体せんと送れんがですよ。で、2時間掛けて解体して、それでメスの卵巣送って、やってみることでね、やっぱいろんなことが見得てくると思うがですよ。
できる限りそういう機会、いくら釣ったとか・・・
釣具屋さんへ置くいうてもどっかへ放られるけんね!?
・・・まあちょっと支離滅裂になるんやけど、まあ、浦戸湾の現状はそんなところですね。
すみません 失礼します。」
(拍手)
【細川】
・・・というところで、東部と浦戸湾と、あと四万十川との釣りの現状というのが、実地でやっておられる方から聞くのが一番よかったと思います。なかなか言いにくいこともあったと思うんですけど、言っていただいて、みんなでその情報を共有したというのは、すごいよかったと。
ちょっと時間過ぎちゃったんですけど、もし何か一言二言、ここで、、、あ、はいどうぞ」
【四万十のアカメ釣り人】
あ、個人的な一つの考えなんですけど、まあ育つ場所と、釣る場所、釣る場所は禁止にしなくて、育つ場所のほうを全て捕獲禁止に、、まあ特区じゃないですけど、釣る場所は
何処から上流何km以内が釣り場ですよというような形で、こう分けることっていうのはできないもんでしょうか、と現場では思うんですが、自分らが四万十しかやったことがないき言うがですけど、自分らが釣ってる場所は産卵が行われゆう場所じゃないような気がするがですよ。
で、当然海寄りのほうで産卵をしてるんじゃないかなと思います。河口何kmとかは全て禁止、釣れるところと保護するところを分けることはできんだろうかと考えるんですが・・・。
【細川】
・・・まあ、僕も専門とかじゃないんで、まあ今の段階ではちょっと難しいと・・・結局、それをやるんやったら当然釣りも規制するぞという親子どんぶりに絶対なってくるんで、一般論からすると。・・・あ、はいどうぞ。
【四万十のアカメ釣り人】
あのー先ほど稚魚の捕獲を禁止するってことで、コアマモ場にほぼ移行するであろうというのは今までの研究でわかっている事実なんですけど、そのコアマモ場を守り、保護して稚魚獲りを規制して、何年かそれを続けていかないととは思うんですけど、で、釣りを禁止にするっていうのは本当に、本当に危ないよと。いなくなってしまいますよという最終段階でいいんじゃないかと個人的に思います。で、稚魚を守って、コアマモ場を守って、活動を続けていく上で、釣獲数とか、データを採っていって、確実に稚魚を護っていったことで、釣れる魚が殖えてきたよと。
・・・という感じでデータを採るのも大事じゃないかと僕は思うんです。
まあ、今回の条例の選定の中へ入ってしまえば、もう最後全面禁止ということになるんですけれども、まず稚魚・藻場を守る、という段階で、順番にそういう段階を踏まえて
の提案を県のほうへも出していけたら、、すごいデータを採るには大事なもんだと思いますので、個人的にはそう思ってます。
【細川】
・・・ありがとうございます。僕個人が思うがですけど、コアマモ場を守るとか、もうちょっと面積を拡げていこうと考えた時に、釣り人だけでやっていくと限界があると思います。それにかかずらってるよりは釣りに行ったほうがいいと、自分なんかも思うわけで。そう考えた時に、その負担を減らしつつも、全体として水域の住民の人たちの意識も高めていこうとしたら、釣り人以外の人の協力が必要やと思います。それをできるだけスムーズに、普通の流れで持っていく方法はないんかなーと思ったんですが、例えば浦戸湾を守る会さんのホームページにあったんですけど、コアマモ場の苗を移植するとかですね、そういうふうな技術もあります。それは建設会社のだったんですが、兵庫県とか大阪で、市民団体というかNPOで、小学校の子供達にアマモ場の移植を手伝ってもらうという取り組みをしておられるところもあるらしいです。
で、長浜川にコアマモの群落があると。
そしたらそれから種採って、長浜小学校が近くにあるんで、長浜小学校の生徒さんにそれを育ててもらって、釣り人と一緒に植える時間を作ってもらう。生徒さんは必ず近くを通るわけですから、変なおんちゃんがおった!って・・・僕が言われるかもしれないですけど、まあ網持ってアカメ獲りゆうみたいなおんちゃんがおったぜみたいな、というような有機的な繋がりというんですかね、格好だけじゃのうて、自分もちっと手伝うた!みたいな感じでやっていくことで、水辺に釣り人以外の眼がいくと。それは新堀川なんかでもそうですし。そういうようなやり方もあると思います。
【長野】
はい、纏めじゃなくて自分の意見なんですけど、先ほど出たタグ&リリースのがで、タグが付いた魚を釣ったら腹が立つ!という人がちっと居ったようで、、私もずっとタグ&リリースをやってきたんですが、今まで・・最近の情報は知らんですけど、40数尾余りタグ&リリース、JGFAのでやって、再捕された、つまりタグがついたという報告があったのが4例あります。
(それはアカメで?)アカメです。
まあタグ&リリースで何が判るか、一つは移動ですね、移動と成長が判ります。で、それも今現状全く判らんわけですから、例えば浦戸湾で生まれた奴がタグ打って、ひょっとしたら徳島県の方へ行くかもしれん。
先ほども見てきましたように、東部ではアカメの幼魚は、まあ散発的にはありますけど確認できてないですが、おらんわけで、で浦戸湾でタグ打った奴が、東部で釣れると。ほんなら確実に浦戸湾から移動をしているという記録として、カチッとした証拠として採れるわけです。なんにもないずくに自分ら話をしているわけでして、そういう情報っていうのはアカメの生態を知っていく上で、うんと大事やと思うんです。
まあ、腹が立つかもしれんけど、是非・・・かなり苦労して打ってるんですよ、打つ人は。で、これからそういう情報がうんと役に立ちますので、引き抜かんずくにサイズを調べてですね、放いちゃってもろうたら、こじゃんと善いと思います。
それと、コアマモ場を守っていくというか、増えていくというか、私はね、増やしたいと思って20年間余りそればっかし思って調べてきたいうて言い過ぎじゃないと自分ではそういう取り組みをしてきました。
で結論はね、先ほども言いましたけど、親のほうの生息域は生活できる範囲はベッタリ高知県はあるんですよ。沿岸域広いですしね。要するに子供達が成長できる面積さえ広がれば殖える。
ものすごい単純なことですけど、はっきり判った。
で、その新堀川の件を訴えたんですが、釣りとはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、あそこが失われると殖えてきている稚魚が成長できる面積が物理的に失くなって、あそこは未来永劫使いもんにならん。今殖えている段階ですので、、、あの物凄い汚されとったパルプ廃液の江ノ口川ですか、あそこもね、ポツポツポツポツとコアマモが殖えてきよるのですよ。僕は嬉しゅうて嬉しゅうてたまらんがですが、そういう場所を自分達は増やしていく・・・。
それから、細川さん言われましたけど、人工的にコアマモを育てる、移植したりとか種を播いて殖やしたりとか、成功例が残念ながらまだ無いがです。
アマモは・・まあ種類が似たような奴なんですが、アマモの場合はそれがやれるんじゃないかということで、先ほど細川さんが言われたのは多分アマモの方やと。
コアマモはなかなか難しいと思いますので、こうやって残されて自然に増えていきゆう場所は僕はうんと貴重やと思うがですよ。『釣り人の宝箱』やと、自分では思ってます。ですので、例えば新堀川を守る具体的な行動というのは声を上げることながですよ。“ここを潰いたらいかんぜよ!”という声がね、やりゆう行政側にどれだけ多く届くかというのが、決定的な効果を与える訳でして、メールでもええです。電話でもとにかく何でも意思表示を。周りの人にもですね、ああいうところは大事やから残さんといかんと、そういう声を届けることが私は最も重要というか有効な手段やと思ってますので、是非よろしくお願いします。」
【細川】
・・・というところで結構時間も過ぎましたが・・・あ、はい」
【四万十のアカメ釣り人】
先ほど話にあった禁止になったらというのですけど、研究の目的だったら採捕はできるというような・・・。
【細川】
制度上はそうなってますね・・。
【四万十のアカメ釣り人】
では研究目的での採捕ということでやろうとした時に何処へ言いにいけばいいんでしょうか?。
【細川】
・・・そうですね、条例で決まってしまうと環境保全とかそっちのほうに行かないと駄目だとは思うんですが、窓口は水産関係ではないと。ただ、文書の様式的には漁業法の中の特別採捕に関する様式を流用すると思うんで、一回水産試験場の方にそういう様式があるかどうかを聞いてもらって、例えば決まってアウトやと。そう決まった段階でその様式を出してくれということを、電話でもFAXでもいいので出してもらったら・・・それで、窓口になってるところに早めに様式作ってやと。その後様式に沿って書いてもらえば、通るとは思います。
結局何かに危害を与えるという目的ではないし、県にデータを提供するような形になる訳ですから、断る理由が無い。
まあちょっと時間は掛かるかも知れませんけど、最悪の場合でもやり方はあります。その時にいうてきて頂ければ、一緒に考えます。はい・・・他にないですか・・・。
はい。
【浦戸湾を守る会さん】
さしせまったことで申し訳ないんですが、もう県はね、杭打ちを始めようとしているんですよ。大正橋に。
何かそういう予算が残っているらしくてね、杭打ちをすぐにでも契約してね、3月くらいから大正橋周辺の杭打ちが始められるような状態だと。ということは、大正橋のところからどんどんと杭を打ち始めるわけよね。杭を打つ状態をまあ3本4本といくわけですが、どれだけ杭を打つのか知らないですけれども、そうするとコアマモというのは春先芽吹くわけですよね。
詳しいことは私もはっきりとはわからんけれども・・・
その芽吹く段階でね、そういうような杭打ち機械が入ってどんどんどんどんやられる。根付くところも根付かなかったりね。汚水が発生したり、振動も多少・・・この3月4月頃から、藻場を守ろうというところが、工事が始まるとそれをストップしない限りね、なかなか大正橋周辺は結局藻場が無くなっていくというということを心配しておるんです。そのあたりも大きな声を上げないと、と思ってますので・・・。
【細川】
ありがとうございます。新堀川についても・・・
今度あるのは種別の選定なんでその藻場を守るとかには繋がらないですけれども、機会があったら是非声を上げていただければ、結局はアカメと自分達の住んでいる環境を守ることにもなりますので、声を上げていただきたいと思います。
時間をかなりオーバーしたんですが、もし他に何かありましたら長野さんのホームページの掲示板か僕の方へメールを頂ければ、またこれプラスという形で県へ意見として出すようにしますので、よろしくお願いします。
そしたら長時間に渡ってご静聴いただき本当にありがとうございました。
またなんかあったら会を開くかも知れませんので、その時はまたお願いします。
(拍手:了)
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