アカメの仲間たち

 現在、Centropomus12種,Lates10種,Psammoperca1種の合計23種(亜種も含む)のアカメ科魚類が確認されています。新大陸の汽水域-沿岸域(太平洋側6種・大西洋側6種)にCentropomus 12種、インド-太平洋域の汽水域-沿岸域にLates 2種、Psammoperca1種の合計3種、アフリカ大陸の淡水域(汽水湖をふくむ)にLates 8種が分布してます。

 アカメ科の分類は、Greenwoodさん(1976)とRivasさん(1986)によってほぼ再調査されていますが、アフリカに生息している

2-3種(L. albertianus. L. niloticus. L. n. rudolfianus )については今だ問題を残しているそうです。種だ亜種だとややこしいことがあるようです。

 最近、Mooi&Gillさんら(1995)によって、CentropomidaeからLates psammoperca を外し、これら2属でLatidae を構成することが提唱されています。(木下 ,1998)

 このように分類学的にはまだ混乱していているようです。

アカメの仲間ラテス属には九種類いますが、七種はアフリカ産です。この七種すべて純淡水魚といわれています。しかし、最近ナイルパーチが汽水湖でもあるマリアウト湖や紅海でも捕獲されているという記事を雑誌でみました。

上記、枠のなかの文章は最初に掲載していたものです。最近まで、このように分類されていました。


@Lates angustifrons タンガニイカ湖(現地名キャプテイン・パンバ)


ALates mariae     タンガニイカ湖(現地名サンガーラ・パンバ)

 

BLates microlepis    タンガニイカ湖(現地名ノンジ・ニュンヒ)


CLates stappersi    タンガニイカ湖(現地名ミケケ・ブカブカ)


DLates longisinis    トゥルカナ湖


E Lates macrophthalmus モツブ湖・セセ湖・セコ湖


FLates niloticus     ナイル川・セネガル川・キョーガ湖・ビクトリア

             湖・チャド湖


                                     

GLates albertianus


H Lates calcarifer   

オーストラリア(バラマンディ)・パプアニューギニア・インド・東南アジア(タイ:プラーカポン、マレーシア:シアカップ、インドネシア:カカップ・プティ、フィリピン:アパハプ、台湾:標準名は「尖吻鱸」ですが、「金目鱸・盲槽、扁紅眼鱸」とも呼ばれています)。(写真上:若魚、台湾小琉球島で1984年7月、町田吉彦氏が撮影、全長約20B、写真下:成魚、オーストラリア、西オーストラリア州のカナナラ。ジョゼフボナパルト湾に注ぎこむオード川で1991年4月21日、小西和人氏釣獲。全長78cm。写真提供、小西英人氏。


               

ILates japonicas    

日本:高知・宮崎が主な生息地。徳島、鹿児島、大分、和歌山、愛媛と続き、三重、静岡、香川、大阪湾では散発的に確認されている。

(写真:高知県浦戸湾水系汽水域で2005.11.1採集した体長284.0ミリのアカメ、計測後放流)


アカメモドキ

Lates 属ではありませんが、とてもよく似た魚がいます。その名も標準和名「アカメモドキ」(沖縄での地方名シタンジューミーバイ)。学名はPsammoperca waigiesis で一属一種です。アカメとの体型の違いは、前鰓蓋骨下縁に棘がないこと、両顎がほぼ同長(アカメは下顎が突出しています)であることなどで、識別されます。アカメほど大きくならず、せいぜい40センチまでとされています。湾内の砂底近くの浅いサンゴ礁に生息し、川には入らないそうです。生息域は琉球列島から西太平洋・インド洋です。

 写真は05.10.10沖縄で釣獲されたアカメモドキです。

(提供フィッシング沖縄社)

 琉球新報の記事で2005年10月11日と18日に珍魚アカメとして紹介されましたが、ガイドが確認してアカメモドキとわかりました。

【2006.7.24採集 アカメモドキ 高知大学標本へ】06.8.18

「標本のお願い」を見ていただいて送って下さったアカメモドキです.撮影は高知大学教授町田吉彦さん.学生の星山卓哉さんには計測,撮影のアシスタントなどお世話になりました.

アカメと比較するとかなりやさしい顔つきです.アカメは下顎が上顎より出ていますがアカメモドキは逆です.また上顎後方から主鰓蓋骨にかけて濃い黄土色の歌舞伎役者の隈取りのような線があります.

種名

アカメモドキ(Psammoperca waigiesis

採集年月日

2006年7月24日

採集場所

沖縄県漁連泊漁港内鮮魚市場

採集方法

不明(体の傷の特徴からおそらく刺網とのことです)

採集者

桜井 雄

保存

高知大学 BSKU 079479

Measurements(計測値)

(長さは全てmm)

1. Total length(全長)

275.4

2. Standard length (標準体長)

217.3

3. Head length(頭長)

78.5

4. Snout length(吻長)

22.5

5. Upper jaw length(上顎長)

31.2

6. Eye diameter(眼径)

17.8

7. Interorbital width (両眼間隔)

10.8

8. Postorbital length of head (眼後長)

41.9

9. Predorsal length(背鰭前長)

95.3

10. Body depth(体高)

74.2

11. Body width(体幅)

35.7

12. Caudal peduncle length(尾柄長)

41.4

13. Caudal peduncle depth(尾柄高)

30.5

14. 3rd dorsal spine(背鰭第3棘長)

36.4

15. 4th dorsal spine

33.7

16. 5th dorsal.spine

28.2

17. 6th dorsal spine

17.4

18. 7th dorsal spine

14.0

19. Last dorsal spine

17.6

20. Longest dorsal ray(背鰭最長軟条長)

34.1

21. Pectoral fin length(胸鰭長)

42.1

22. Pelvic fin length(腹鰭長)

45.0

23. Caudal fin length(尾鰭長)

58.1

24. 2nd anal spine(臀鰭第2棘長)

18.3

25. 3rd anal spine(臀鰭第3棘長)

19.3

26. Longest anal ray(臀鰭最長軟条長)

34.9

Meristic Characters(計数形質)

1. Dorsal fin (背鰭)

VII-, 12

2. Pectoral fin(胸鰭)

16

3. Pelvic fin(腹鰭)

I, 5

4. Anal fin(臀鰭)

III, 8

5. LLP(側線有孔鱗数)

51

6. TRa(側線上方横列鱗数)

6

7. TRb(側線下方横列鱗数)

10


【2個体目アカメモドキ 高知大学標本へ】07.6.7

(1)

(2)

 沖縄在住の釣り人、新垣裕也(アラガキ ヒロヤ)さんがうるま市海岸のテトラ際で釣られたアカメモドキです。

 新垣さんのお話ではうるま市付近海岸ではちょくちょく釣れるそうです。

 写真(2)は腹鰭ですがアカメ科魚類の特徴とされる腹鰭の内側付根の鱗状突起がアカメモドキにはありません。提供していただいた2個体でしっかり確認できました。

種名

アカメモドキ(Psammoperca waigiesis

採集年月日

2007年3月25日 (AM3:00)

採集場所

うるま市海岸のテトラ際

採集方法

餌釣り 餌:さし餌(オキアミ)

採集者

新垣裕也(アラガキ ヒロヤ)

保存

高知大学 BSKU090218

Measurements(計測値)

(長さは全てmm)

1. Total length(全長)

329

2. Standard length (標準体長)

275

3. Head length(頭長)

93.5

4. Snout length(吻長)

25.0

5. Upper jaw length(上顎長)

31.1

6. Eye diameter(眼径)

17.6

7.Body depth(体高)

90.4

  釣られた新垣裕也さん ありがとうございました。


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