アカメのルアーフィッシング

   私がファイト中のアカメ。咥えているのはレーベルの13センチミノー(シル バー)のシンカーです。(畑誠二氏撮影)


アカメのルアーフィッシングの歴史

 土佐東部の奈半利町と田野町の境界になっている奈半利川の河口部がアカメのルアーフィッシングの発祥の地です。当時はアカメは『知る人ぞしる』魚であり、一般的ではありませんでした。ごく限られた釣り人や漁師によって四万十川や浦戸湾などの伝統漁法で舟から釣られていたのです。アカメが日本のルアーアングラーに認知されるのは1983年アングリング誌(No.2)で仲間の大坪さんが99cm、15キロのアカメを奈半利川で釣ってその大アカメを抱えている写真がカラーで紹介されてからです。ルアーの世界にセンセーションを巻き起こした記事でした。続いて1984年のフィッシング誌2月号に地元のアングラー安岡敏彦さんがアカメのルアーフィッシングを紹介、同年同誌12月号に大坪さんが「アカメ軍団白書-月夜の大潮にきまって何かが起こる」という記事を発表、当時はルアーフィッシングは全国的な発展期であり強烈な衝撃をこの世界に与えた  

「写真はアカメ軍団と呼ばれていた当時のメンバーと取材で来られた北村秀行さん、徳永兼三さん、桜田吾作さん(右の三人)」

のです。1985年頃から全国からアカメを求めて名うてのルアーアングラー達の奈半利川への遠征が始まり、続いて年々たくさんの釣り人が遠征してくるようになりました。

 アカメのポイントも当初は河口周辺の汽水域に限定されていたのですが、先人たちのフロンティアスピリットにより次から次へと開拓されそれまでのアカメ釣りの常識が覆されてきました。『なるべくしてなった』のですが四万十川や浦戸湾などへと広がり、いまでは土佐沿岸全域が開拓されつつあります。 

 矢口高雄さんの人気漫画「釣りキチ三平」第二十二集で四万十川のアカメ釣りが紹介されたのは1986年のことです。この「釣りキチ三平」によってまだルアーフィッシングを知らない釣り好きの少年達にもアカメは幻の大魚として人気を博していくのです。この連載のため矢口氏が四万十川や桂浜水族館などに取材旅行をするのが1982年2月です。しかし、四万十川などではまだルアーでのアカメ釣りはおこなはれておらず、彼としても知る由もなくやはり舟からの伝統漁法が紹介されています。

 写真は仲間の内川さんとともに初めて釣ったアカメ」

奈半利川でのアカメのルアーフィッシングの歴史はとても早くて1970年代中頃から行われていたようです。わたしが初めてアカメを釣ったのもここで1984年のことでした。

 別のページでもふれますが、当時のアカメ用タックルについてすこし述べてみます。1970年後半は海のルアーフィッシングの勃興期でありそれほど多くのソルト用タックルはなかったのです。その後登場してくるロッドのほとんどがスズキ用タックルであり今のように対象魚にあわせてつくられた専用ロッドなど想像もしなかった時代なのです。奈半利川河口で使われていたロッドは主に投げ竿のかなりヘビーなものでした。ラインはショックリーダー無しの10号が主流だったように思います。そしてルアーも種類は少なく現地で入手可能な主なものは、レーベル、ラパラなどが主でした。なかでもレーベルはなかなかの効き目を持ったルアーでした。カラーは主にブルーが人気がありましたが、レーベル全盛の後半にはそのなかのレッドアイという全身ギンピカ、目玉が真っ赤というカラーが人気を博しました。余談ですがアカメ用には13センチのものが使われましたが、スズキには11センチのジョイントをよく使いとても良く釣れました。カラーはやはりブルーが一番多く使われていましたがそのカラーの在庫が少なくなってたくさん残っていたレッドアイをしかたなく私が使い始めたのです。これが実に効きました。あまりにも多くのスズキを釣る(?)ものですから、あっというまにギンピカのカラーが流行ってしまいました。思い出の深いルアーです。

 タックルの中でロッド、ライン、リールはなんとかサーフなら普通のアカメであればその力に持ちこたえることはできたのですが、ルアーのフック、スイベル、スプリットリングなどがダメでした。交換用のフックなどなかったのです。フックは延ばされる、スイベルはとばされる、スプリットリングは楕円形になったりのびたりしてさんざんな目にあっていました。大物とやりとりしていて、ファイト中に満月のように働いているロッドから『ぶつっブツ ぶつ』とフックがのびて外れていく、音というか手応え、というかそういう感触が伝わってくるのです。「ああ!もういかん!!」と思う間もなくフッと軽くなって、敗北感が、立ち込んだ水の中から、じわっと心の中に登って染み込んでくるのです。

 いまでもヒットさせると「バレるなよ、ばれるなよ」と念じるのですが、当時はいまよりもスリルとサスペンス度が強かったかもしれません。


ルアーフィッシングの季節

 主に夏が中心です。しかし、どうやら二月を除き一年中釣れるようです。いまのところポイントは限られていますが、十二月・一月にも普通のフィールドで釣れています。三月中旬、ガイドも大型のアカメをヒットさせ姿も見ましたが、腕が悪いのか、運が悪いのか十秒ほどラインを引き出され、その後ルアーをペッと吐き出されていまいました。(情けない!)このときはたまにヒットしたのではなく狙っていたのです。

訂正:この文中、十二月・一月・二月にも普通の・・・と書いていましたがすべての記録を見直した結果、二月に釣れたという記録はありませんでした。ガイドの記憶違いでした。お詫びして訂正します。98/9/2)


ルアーフィッシングのポイントと好条件

 どの魚を釣る場合でもそうですが、季節あるいは天候などの条件によってポイントが違ってきます。大まかに分けると、現在では大河川の河口部・中小河川の河口部・サーフ・湾内・港・磯などでしょう。各ポイントを少し紹介してみます。

大河の河口部

 高知県で大河といえば、四万十川・仁淀川です。両河川ともかなり上流まで感潮域がありアカメもそこまでは遡ります。こうした河口部では何らかの変化があるところがポイントになります。例えば深場から浅場へのカケアガリ・岩場・捨て石・テトラ・支流との合流点・橋桁などです。

 大河の汽水域の好条件は梅雨が明け猛暑がと日照りが続いた時などが良いようです。ボラが騒ぐような日は絶好です。アカメがボラを補食するバコン!とう大きな音が聞こえるかもしれません。しかし、増水時にはそのときのポイントがあります。アカメがベイトを補食しやすくなる場所というのがヒントです。

川の規模は小さくても感潮域が深い河口

 浦戸湾にそそぎ込む各河川、奈半利川などでは汽水域が狭くて短いため一帯がポイントといってもよいのですが、何らかの変化のあるところが、やはり有力ポイントです。

 好条件も増水時、渇水時どちらにもそれぞれ違うポイントがあるものです。 

中小河川のそそぎ込むサーフ

 川の増水時が圧倒的によいようです。平水のベタ凪でもヒットはしていますが、率は増水時が高いのです。ポイントは流れ込んだ流水の方向の側のサーフのほうが良い結果が出ています。スズキよりももう少し流芯に近いヨレなどがポイントです。これはエサが増水により海に流されてくるためで、晩秋から初冬にかけての落ち鮎期にはこうした状況が顕著に現れます。スズキと共通したパターンです。やはり同じ魚食魚ですからでしょう。ただし、水が引き始め落ちついてくるまでよくヒットすることもあります。

港・磯

 大小の港湾がたくさん建設され現在も整備されたりしています。多くの港でアカメが確認されています。開発されたポイントも多くなってきましたが、まだまだ手つかずの所もあるようです。港は磯とともにアカメの成魚の住処になっているようでわたしとしてはここでの釣りはあまりお勧めしません。アカメのサンクチュアリとしてそっとしておきたいという気持ちがはたらくのです。それにここは危険が多く、アカメをヒットさせてもランディングまでが難しいしさらに危険が増します。釣り人ならわかることですが魚とのファイトで夢中になると平常心は吹っ飛んでしまいます(おもしろい話を参照して下さい)。というわけで好条件などは伏せておきます。 ひ・み・つです。

 もしどうしても挑戦してみたいと思われたら、1人では行かないことです。

 


              

  ようこそアカメ釣りへもどる ルアーフィッシングのタックルへすすむ  トップページヘもどる