アカメ釣り


 「アカメの国」のガイドからのお願い2009.8.31)

今こそ多くのデータを集めましょう

 アカメ釣りが広く認知されるようになってからまだ20数年しかたっていません。アカメ釣りが広がるにつれアカメについて色々な生態がわかるようになってきました。アカメの食性、分布などは釣りが盛んになったからこそわかってきたことです。

 1984年、アカメが日本固有種であると発表されましたが、それ以降もまだまだ謎が多い魚です。また、環境省のレッドデータブックには絶滅危惧種としてとりあげられるようになりました。魚類やアカメの「専門家」といわれる方たちの思い込みや思惑により、アカメが生物として実態よりも脆弱な生き物だと強調され、それらが広くマスコミなどで取り上げられるなどしてきました。そして、一般的にアカメはとても希少であり、いまや四万十川が主な生息地で絶滅が心配されるお魚だと思われるようになってきたことなどが主な原因です。

 アカメは高知県沿岸が主な生息域です。「専門家」といわれる方は汽水域が主な生息域だと強調してきましたが、成魚は通年沿岸で生活をしています。こうした新発見も釣りが盛んになりデータがたくさん集まってきたからこそ判ってきた成果です。僅かな面積しかない汽水域を主な生息域と見るのか、それとも高知県沿岸域が主な生息域とみるのかではアカメの資源量の判断、生物としての生存能力の見方が大きく違ってきます。

 2009年8月現在、アカメは絶滅危惧種であるという見方をする「専門家」。かたや高知県に於けるアカメは絶滅危惧種に該当しない、アカメは普通種であると判断している私たちと生物の専門家。この2つの見方があります。

 前者は県の保護条例でアカメを保護種にすべきという立場です。後者は、アカメは高知県では絶滅を心配するような現状ではない普通種であるが生物としてのアカメは日本固有種であり生息範囲が狭いこと、沿岸を主な生息域とする巨大魚であるなどのことから希少種であり、アカメの実態にそった活用と独自の保護策をとるべきであるという立場です。

 絶滅危惧種であるという見方をする「専門家」は現在の釣獲数があまりにも多いため、釣り人が提供するデータは、釣りなどが禁じられる保護種にしないため、作為的な出鱈目なデータを多く出しているのではないかと疑いを持っているという話があります。噴飯ものではありますが、嗤ってすむ話しでもありません。しかし、こんな恥ずかしい疑いを持つこと自体、自分自身の偏狭さと卑しさの反映であることに気づかないのが哀れです。

 【アカメの若魚と成魚に日常的にじかに接し,データを豊富に持っている専門家はいません.これらの専門家より,釣り人の方がアカメの若魚と成魚に関する知識がはるかに豊富です.問題は,これらの専門家が客観的事実を無視し,「アカメは少ない」と言えば,アカメが希少種に指定される可能性が多いにありえるということです.県がアカメの調査をどこかに依託するとしても,1年やそこらで得られた若魚と成魚に関するデータで議論されてはかないませんし,依託先が新堀川で貴重な動植物の移植の業務に従事しているとすれば,これはお笑いでは済まされません.

 このように,アカメは現在きわめて微妙な立場にあります.これまでに明確になったことは,開発工事に際しては,希少野生動植物といえども県のどこの部局も守る姿勢がまったくなく,完全な邪魔者扱いであることです.せっかく繁茂し出したコアマモも,ようやくやって来てくれたシオマネキも例外ではありません.もちろん,コアマモに依存するアカメも同じです.

 アカメは高知県の汽水域の豊かな自然の象徴といえる存在です.アカメとそれを育む環境を守れるかどうかは,心底からアカメを愛する釣り人の活動いかんにかかっていると強く感じます.】

 【】内の太字の文章は、今回アカメフォーラムで講演してくださる町田吉彦高知大学教授が2008年8月19日に「アカメの国」討論のページに寄せていただいた「アカメと自然を豊かにする会の皆さま」という文章から抜粋したものです。

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集まったデータを分析して何処でどれだけ釣獲されているかを図にしたもの

 この図は1998年高知大学で開催された魚類学会公開シンポジウムで私が発表した資料の一部です。これは黒丸の大きさで釣獲場所と釣獲量を表したものです。最大の浦戸湾が124尾、四万十川が88尾、奈半利川河口で87尾、最小は室戸市羽根川河口・宿毛市福良川河口などでの1尾となっています(現在ではもう少し黒丸の場所が増え、サイズが大きくなります)。

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 今後、さらに多くのデータを集めましょう。

 これからのデータは、誰が見ても疑いようのないデータとするため下記の内容で集めていきたいと思います。

 特に「画像による魚種と大きさが判断できるもの」を重視したいと思います釣り人のみなさんのご協力をお願いします。

画像:「豊かにする会」会員の岡田 勝さんが釣って標識放流されたアカメです。

 〈釣獲データ必須項目〉

● 釣獲年月日

● 釣獲場所

● 釣獲方法

● 釣獲者(住所、氏名、電話番号)

● 全長(頭部先端から尾鰭先端まで)、できれば 体長(上顎先端から最後の脊椎骨の後端:尾鰭を持って折り曲がるところ)も。

●量っていれば、または量ることが出来れば体重も

写真など魚種と大きさが判断できるもの

 

 以上の項目で日本全国のアカメ釣獲データを募集します。集まったデータはアカメと自然を豊かにする会が集積し、専門家と共に分析し文書にしたり「アカメの国」で公開していきます。

 

 アカメのデータをたくさん集めてアカメの本当の姿を日本国中に情報発信していきましょう。

 


アカメの国保健省からのお知らせ 2009.8.29加筆

 全国のアカメの仲間達へ。

 ここ十数年、われわれが最も好む夏の季節、大好きなボラっ子のように空から降ってくるキラキラと美しい魚には気をつけて口を出さないようにされたい。あの魚は見てくれとは違い非常に硬くてとげとげと骨っぽく小さい割にはとても力が強い。たいへん不味くてダルマオコゼよりも危険である。おとなのなかにはわざとくわえて一汗流す運動に使ってみたり、爪楊枝代わりに利用したりしているが、子供は危険なので絶対まねをしないように。美しいものにはトゲがあることを肝にめいじて健康で安全な生活をおくられたい。


 アカメ釣りの主な三つの釣り方(2009.8.29修正、加筆)

 ルアーフィッシング舟からのエサ釣り岸からのエサ釣

 

 

この写真は1994年8月、土佐中部の小河川の河口で釣った、全長129センチ・27.5キロのアカメです。左は仲間の大坪さん。

 

 ガイドはルアーフィッシングしかやったことがありませんのでそれ以外は詳しい案内はできません。それから、高知県以外の状況についてもあまりくわしくありません。

 また、このホームページはアカメ釣りを中心に取り上げたものではありません。全体を見ていただけばおわかり頂けると思いますが、アカメのような魅力ある大魚がこれからも人の手によって滅ぶことなく他の魚族とともに繁栄してわたしたち釣り人がいつまでも釣りができるようにしたいという意図の元に情報発信をしています。よく、ポイントについての質問などをいただきますがそれは 「ヒ・ミ・ツ」 です。(アンケートやサンプルなどたくさんの釣り人のなかまから情報などをいただいています。ですから道義上もそうすべきと考えていますのでご了承ください。)

 アカメ釣りの魅力は、いったい何でしょう?アカメはどうしてこうも釣り人を魅惑するのでしょうか?かく言うわたしもかなりそのアカメに魅せられ狂ってしまった釣り人の一人でした。2003年以降はデータ集積のに集中するためアカメ釣りはきっぱり止めましたが、若い時代は三日三晩眠らずに挑戦して、自分自身が赤目になったりして釣り狂っていたのです。

 

 

 アカメを求めて、毎晩家を空け朝帰りをする夫を疑ってついきた妻。アカメを見て納得しましたが信用のない夫は苦労するのであります。

(自業自得の声あり)

 このアカメは1984年9月11日、その日までのまる三日、毎晩フックを伸ばされたり、ラインを切られたりしながら、やっと四日目に釣り上げた二匹目のアカメで97センチ・11.9キログラムです。おかげで自分自身が赤目になってしまいました。

 

 ネオンまたたく水面下、下駄履きでいけるような身近な足下にもマンサイズの巨魚が潜んでいるやも知れないなんて、現代の奇跡かもしれません。

 アカメのアカメたる所以である妖しく紅く光る目。そして、古代魚を想起させる巨体。背鰭軟鰭・臀鰭軟鰭の付け根はシーラカンスを思い起こさせます。

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 ヒトがアカメに魅せられる。それは原始の時代、ヒトが種として確立してくる過程で、アフリカの大地溝帯近辺に多く生息し、ヒトの祖先の身近にいて貴重な食料になってきたのがアカメ属であり、アカメが持つ魅力はヒトの記憶の奥深く刷り込まれた根源的なものだという人もいます。

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 アカメ科の仲間たちは、南北回帰線内の熱帯・亜熱帯にほぼ分布しているのにたいして、アカメは北に突出しており、生物学的にも貴重な魚です。また、日本でも分布が狭く限られており、1991年からは環境省のレッドデータブックに絶滅危惧種(?)として掲載されるようになっています。かれらを取り巻く環境をよくし、素晴らしいアカメ釣りがいつまでも続けることができるようアカメの国のガイドは取り組みたいと考えています。
     
データから見たアカメ釣り

   

 この第1図は以前から集めていたアカメの釣獲・漁獲データの出所べつ、そこの各個体数、そこの最小から最大までの全長、それぞれの記録された年、月をしめしたものです。一番多いのがアンケートからのものでこれには釣友、釣り団体、各クラブなどに直接お願いしていただいたもの、このホームページのアンケートによせていただいたものなどで47人の個人、数団体からの提供で333個体のデータをいただきました。つぎに演者とはわたしのことでこの表は魚類学会のシンポジウムでわたしが発表したものからコピーしたものでこうした表現になっています。つぎに新聞や釣り雑誌などからのデータで48個体になっています。個体数542の内(171)というかっこ内の数字は釣獲後すぐリリースされたり、計測しなかったなどの理由でサイズが不明のものです。この542尾のアカメのデータを分析したもののなから釣りに関係するところを一部紹介してみます。


 第2図は釣獲尾数の月別変化のグラフです。縦軸が釣獲尾数で横軸が月別を表しています。第1図の371尾が何月にどれだけ釣獲されたのかをみたものです。ご覧のように水温の上がる5月から急上昇し、夏に集中して釣られています。特に8月には全体の三分の一が釣られていて、9月から急下降しています。モードは夏に現れており寒い2月には全く記録がありませんでした。わたしは四季それぞれ好きなのですが、アカメはこれだけをみても暖かい、いや、お暑いのがお好きということがよくわかりますね。


           

 第3図です、これは同じように371尾のアカメが各月べつに、沿岸、内湾、河川でどれだけの比率で釣獲されているかを表しています。沿岸がドット、内湾がチェック、河川が黒塗りです。傾向として寒い季節には沿岸、内湾での釣獲が多く、夏には河川が多いということがいえます。黒が河川でその他が海での割合だとみていただくと分かりやすいと思います。

 この釣獲場所を区分した3つの環境の定義です。

沿岸---波の影響を強く受ける開放的な海域(砂浜海岸や岩礁海岸など)

内湾---地形または構造物により波の影響が抑えられた静穏な海域

河川---河口のごく周辺から河川下流部の汽水域

 *アンケート調査はホームページ上や聞き取りなどで現在も続けております。是非ご協力ください。

 *多くの仲間の皆さん、アカメと自然環境を守るため活動されている団体などから貴重な資料をいただきました。また、この資料を分析するにあたり、また作表などの作業でご指導、ご援助をいただいた(株)西日本科学技術研究所の生物班のみなさんにこの資料を発表するにあたって、心からお礼を申し上げます。 2002.7.29 

 

 建設中  

 

 

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