アカメ用ルアーフィッシングのタックル

 タックルはフィールドの条件と対象魚にあわせます。大型魚・小型魚が一緒に釣れるポイント、小型魚がほとんどのポイントなどがあります。サーフのように何も障害物のない場所ではライトタックルでも大丈夫でしょう。また、岩礁やテトラなど障害物のあるポイントではそれなりにヘビーなタックルが必要になってきます。

 釣りは対する思想も十人十色、個人の自由です。ガイドはタックルについてもああしろ、こうしろなどと言うつもりはまったくありません。が、アカメを釣りたいが経験がないという釣り人。それと、この国の主人公「アカメ」のために、ガイドの使っているタックルと考えを紹介してみます。

一昔前のアカメアングラーたちのタックル(撮影1986年8月)


 ガイドのタックルに関する考え

 アカメは巨魚です。一メートルを超えるような大型魚はめったにヒットはしませんが、ヒットするとそれはそれは釣り人を虜にしてしまうファイトをします。タフなファイターなのです。そして、こんな大アカメがヒットするのも夢ではないのです。だから、ガイドはよほど小型魚しかいないとわかっている場所以外は、最低でもラインは16〜20Lb、ショックリーダーは40〜50Lb、障害物のあるようなポイントでは30Lbに80Lbを使います。一生に一度めぐりあえるかどうかというような大物がヒットしたとき、タックルの選定を誤り悔しい思いをするのはたまらないからです。(いままでに何度悔しい思いをしてきたことか!)

 よくラインクラスでの記録狙いで細いラインを使っている方や、面白いからと弱いタックルで挑戦している釣り人を見かけます。こんなときはフックのバーブ(かえし)はペンチなどで潰してやって下さい。引きちぎったルアーに口を縫われたままでエサも捕れないなんてことになると可哀想です。リリースの場合にも時間をかけすぎるといかにタフなアカメといえどもダメかもしれません。何事にも程度があることをお忘れなく。


ガイドのタックル

 さて、アカメを追っかけはじめてもう20年あまりになります。タックルの進歩も始めた当時から見てみるとじつに大いなるものがあります。当時のわたしのタックルは13ftほどの投げ竿に大型のスピニングリール、ラインは5号〜7号、途中にボラ釣り用の飛ばしウキ、リーダーは8〜10号、ルアーはレーベルの13センチミノープラグでした。実はこれはわたしの住む安芸市独特の対スズキタックルの標準仕様でした。とはいっても安芸市でルアーでスズキを釣る釣り人は数人しかいなかったのです。その数人のなかでわたしは抜群の実績を誇っていて井の中の蛙になっていました。

 ある日のことアカメのルアーフィッシングの発祥の地、東部のある河口へアカメを狙ってでかけました。その日出会った地元の釣り人にひどいことを言われたのです。「おんしゃあ、安芸からきちゅうろう。そんな道具でミノウオがとれると思うちゅうがか、いねいね。」共通語に翻訳すると「おまえはサー、安芸から来ているのだろうサー。そんな道具でアカメが釣れると思っているのかイ、帰れかえれ、バアロウ。」と、まあ、こういうことになります。「伊尾木川の奇跡」とよばれたこのボクに何という悪口雑言かとムカっときたのですが、相手は数人、「ふん」といってその場を離れましたが、後日何度か会ううちに親しく話をするようになり彼のタックルを見せてもらうようになりました。彼のロッドはがちがちの超強竿で、ラインは10号、ルアーに直結でした。地元のアカメ釣り師たちと交流が深まるにつれてわたしが抱いていたアカメのイメージが現実と違っていたことに気付いていきます。

 80年代からソルトウオーターロッドが次々とでてきます。たくさんの仲間ができて各自好みのタックルで臨んででいたのですが、わたしを含めアカメに翻弄されていました。大型のアカメがくると普通のシーバスロッドでは主導権がとれず、5〜8号のラインはぶちきられる、ルアーのフックはすべて延ばされる、スプリットリングは楕円に変形してはずれる、スイベルは破壊される。このような悲惨な目にあっていたのです。

 やがてそれぞれお気に入りのタックルに巡り合ってしあわせな生活をおくっているようですが、わたしはベイトタックルに到達し、今に至っています。ロッドはこれ一本。その名もMR.DON SW 1002。同じシリーズで9〜11ftとありますが、アカメに抜群の相性だったのは10ftでした。しかし、残念ながら廃番になりもはや入手は不可能になりました。廃番と聞いてあわてて同じロッドを手に入れて2本のロッドを交互に使っていたのですが使用頻度が激しく、また、相手がアカメだけにかなりくたびれてきていて困っていました。当時のエビスフィッシングの会長さんに見せたところ「これほど使い込んでいただいてありがとうございます。」と喜んでいただいたものです。

アカメ専用ロッド

 1999年、雑誌の広告にふと目が止まりました。なんと、アカメ専用ロッドという文字が飛び込んできたのです。熊本県のロッドメーカーRippleのリップルフィッシャーというロッドです。広告にはURLとメールアドレスがありましたのでさっそくメールで問い合わせました。(アカメの国のリンクのページにあります。)カタログを求めたのですが、そのときはまだカタログは未完でメールでロッドの仕様についての返信がとどきました。アカメ専用ロッドは8.6ftで性能をみるとかなり頑強そうな感じです。わたしは10ftのベイトロッドを中心に使ってきたのでこの長さのロッドがほしいということを伝えるとすでに土佐の数人の釣り人から問い合わせがあってやはり8.6ftは短いといわれていたそうです。ここからアカメ専用のロングロッド(10ft)の開発にかかわることになります。

  

 この写真のロッドは上から8.6ft試作2号、中が同試作1号、グリップは3種類で上がサイズ18、中が20、グリップだけのものが20のものの握りの部分をペーパーで削り落として18のグリップのサイズに改造したもの、下が10ftの試作1号です。10ftのグリップは22です。リールシートの位置がそれぞれちがっています。これはわたしが注文をつけてリールの位置をできるだけ中心へ寄せたものです。バランスの関係で持ち重りをすこしでも和らげるためです。

<8.6ft> 試作一号、ロッドウエイト300gでしたが、試作二号はで250gと軽くて強く仕上がっています。かなり完成度の高いものだとおもいます。

 写真下から8.6ft、試作一号、中、二号、上のグリップはサイズ20のものを18のサイズの径までペーパーで削り落としたもの。

<10ft> 試作一号、ロッドウエイト365g、強力なロッドでふつうに使うにはオーバーパワーでした。ただし、わたしがたまに行く磯とテトラの超荒場では頼りになりそうです。試作二号は今度は少し弱くて胴調子すぎると注文をつけました。試作三号、ロッドウエイト270g、MR.DONの10ftよりも強く仕上がってきました。もう少し軽くするように注文をつけてそれを現在試作中です。

 

      写真上、MR.DON SW1002 、中、試作三号、下、試作一号。

 <グリップの材質>写真のグリップの材質はEVAというらしいのですが、わたしはコルクが好きです。軽くてすごく自然な暖かみがあります。リップルにコルクについて質問してみました。

コルクの産地はポルトガルだそうです。最近コルクの資源量が減少しているといいます。このコルクの一番質の良いものがワインのビンの栓に使われ、二番目がフライロッドに、三番目がルアーロッドのグリップに使われているそうです。値段が高くてEVAの5倍はするそうです。

 リップルの商品開発のコンセプトは「折れるロッドはださない」だそうです。ロッドを手にするとわかりますが、ガイドの取り付けのコーティングの丁寧さや仕上げの丁寧さは特筆ものですし、化粧巻きの美しさは圧巻です。とてもよいアカメ専用ロッドが完成しそうです。完成したあかつきには、紹介します。

RED YEY SPECIAL 完成

 2000年6月、リップルの営業の前田さんが高知へ仕事でくることになり10ftのロッドが完成したので持ってきてくれることになりました。ロッドの名前もRED YEY SPECIAL。これはわたしが提唱したもので名付け親になることになりました。「社長から預かってきました」というロッドは希望していたようにグリップがコルクでつくられた特別仕様のロッドでした。スペシャルのスペシャルバージョンす。(定番商品ではグリップはEVAです。)これまでの開発段階で強さは問題なかったのですが重さが気になっていたのです。しかし、すっかり改善されてバランスも良く持ち重りのしない素晴らしいロッドに仕上がっています。

 アカメ10ft RED Eye special (ベイト・スピニング)

ライン MAX: PE 4号(301bs)

ルアーMAX:3oz

長さ:10ftt

ロッドウエイト:250グラム

素材:カーボン 2pcs

 

スピニングロッド

 増水時などの好条件のとき小河川のサーフなどでアカメをねらう場合、逆風や波が高い場合が多いのです。そのようなときなどベイトロッドでは対応しにくいのですが、そのような条件下ではわたしはよく11〜12ftのスピニングロッドを使っていました。自分の持っている数社のものを何となく使っていましたが、琴線に触れるものには巡り合っていませんでした。しかし、最近これはと思うロッドに出会いました。パームスのSurfstar Heavy Classです。8.6〜11ftまで揃っていてわたしはSGP-86Hと同116Hをよく使っています。アカメに対して十分なパワーがありその上たいへんバランスが良いロッドで負担も軽く疲れません。このロッドにクエストのロックハイパーの20Lbと同社のショックリーダー50Lbでのぞめばサーフであれば夢の50キロのアカメがきても安心できると思っています。

 


障害物のあるポイント用

   

ロッド

リップルフィッシャー8.6・10ft(ベイト仕様)

パームス SGP-86H〜116H(スピニング仕様) 

リール

アブ   XLTスリー・マグスリースーパー・6000C

ペン   5500ss、6500ss

ライン

エムズクエスト(EG)30Lb エムズロックハイパー20〜30Lb

リーダー

エムズ エムズスーパーリーダー 50Lb〜80Lb

     
サーフなど障害物のないポイント用

ロッド

リップルフィッシャー8.6・10ft(ベイト仕様)

パームス SGP-86H〜116H(スピニング仕様)

リール

アブ   XLTスリー・マグスリースーパー・6000C

ペン   5500ss、6500ss

ライン 

エムズ ロックハイパー 16〜20Lb   エムズクエスト16〜20Lb

ショックリーダー

エムズスーパーリーダー40〜50Lb 

 

              


             小型ばかりのポイント用

ロッド

パームス BVC-603〜604 BVS603

リール

小型スピニングリール 

ライン

エムズ ダイレクツ 6〜12Lbエムズ ロックハイパー 6〜12Lb

ショックリーダー

 エムズスーパーリーダー20Lb

  


                 ルアー

デュオのルアーたち

 7〜18センチのミノープラグが主。フィールドによりディープ〜トップまで使っています。KーTEN・デュオ・キヨルアー・他など。

 

 

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